石とガラスの緻密な絵画、モザイク

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アンティークの技法の一つにイタリアで生まれたマイクロモザイクと呼ばれるものがあります。テッサラと呼ばれるガラスで出来た一ミリに満たない極小のパーツを無数に隙間無くはめ込んで、絵画のように仕立てる驚異の技法です。大きな作品にはもちろん、小さなアンティークジュエリーにも使われています。優れたマイクロモザイク作品は目を疑うような細かさの物ばかりです。

初期のモザイクはより大きな石やガラス片で作られていましたが、複雑なマイクロモザイクの微小のピース(1ミリ以下)は切るとテッセラになるガラスの薄く細長い一片や「スマルティ・フィラーティ」と呼ばれるガラスの糸を作ることにより得られます。

現存する古代ローマのモザイクには、特にポンペイから来た非常に小さなテッセラを用いた、極めて精巧に作られた詩情溢れる作品があります。

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フランスの伝統的なジュエリー 〜オーベルニュのサンテスプリ〜

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ギャラリーで扱っている鮮やかで深いざくろ色のガーネットが綺麗な19世紀前半のオーヴェルニュのサンテスプリ。こちらはオーヴェルニュの都市のル・ピュイ・アン・ヴレイの物、サンテスプリは様式化した鳩の形態をしていて、カトリック教のシンボルである聖霊のことです。深い意味も込められていますが、ジュエリーとしても素敵なデザインです。

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掲載準備中 18世紀のリング

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とっても素敵な古いリングを買い付けてワクワクしています。素敵なジュエリーと出会えて購入することが出来た日は嬉しくて胸が一杯になるのはディーラーの私も一緒なんです。この喜びがディーラーの醍醐味の一つだと思っています。

珍しい18世紀のジュエリーでローズカットダイヤモンドと薄ピンク色のガーネット、ロマンティックな雰囲気にうっとりのリング、透かしのデザインがとても繊細です。この時代のリングはとても細身で華奢な作りと繊細なデザインが特徴、そして嬉しい事に抜群のコンディション。良いジュエリーが買えた日はそれだけで嬉しくてワクワクしますが、そのジュエリーについて調べるのもまた心満たされる特別な時間です。早速資料で同時代のリングについて調べました。

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フランスの伝統的なジュエリー 〜プロヴァンスの十字架〜

1Traditional provencal costume, late 18th century

プロヴァンスは18世紀から19世紀初頭のフランスにおいて名高く豊かな地方でした。その富はオリーブオイルやワインの生産という地中海での貿易から得ており、プロヴァンスの中でも最も豊かな街はマルセイユ、アルルそしてエクスでした。そして、18世紀より、富裕層はとても価値の高いジュエリーを使うようになりました。これら宝石のデザインはフランスから来たものですが、イタリアやスペインから来たものもあります。ほとんどが古風な形やデザインです。ゴールド、シルバー、ダイヤモンド(ローズカットダイヤモンド)が使われ、エナメルも使われています(例としてマルタ十字架に使われています。)

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フランスの伝統的なジュエリー 〜サンテスプリ〜

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ノルマンディーのジュエリーには、特有の種類とスタイルがあります。その多様な形と製造技術の高さは、昔の統治体制下で金細工職人やジュエリー職人たちの重要な協働体制があったことを示しています。また、19世紀および20世紀には同地方の首都 (ルーアン) や中規模の都市 (ルアーブル、バイユー、アランソン、クタンス、ファレーズ・サンロー)に、実力のあるジュエリー職人がいたことも分かります。サンローの十字架、ルーアンの十字架、十字架の突起、サンテスプリといった、いわゆる伝統的形式の原型が見られるのは、むしろ17世紀や18世紀です。これらの豪華な装飾品は、選ばれた裕福な都市の中でも、特に身分の高い商人や中産階級の人々に使われていました。しかし、19世紀に入ると大衆化が進み、その後、ネックレスや、手の込んだ布地や髪を飾る宝石といった、ファッショナブルなジュエリーに広がっていくのです。 続きを読む