100年前の、、、


とっても珍しい物をご紹介します!
先日は私の誕生日だったのですが、とても面白い物を頂きました☆

IMG_3500

これ、一体なんだと思いますか??

IMG_3502

写真の距離は動かして変えられます。

IMG_3503

ガラスからは写真が見られるようになっています。

IMG_3504

二枚の似た写真が隣同士でセットされてるのは何の為?

 

 

実はこれは100年前に作られた3Dメガネなのです!
最近は映画館でも3Dが増えてきて迫力ある映画を楽しめるようになりましたが、このメガネに特殊な方法で撮影された写真をセットして覗くと、映画みたいに人力車と竹藪が立体的に見えるんです!嘘じゃないですよ!(笑)

100年前に既に3Dがあったなんて驚きです(^^;

IMG_3507

3Dに見える秘密は、この写真の撮影の仕方も重要で特殊な技術がいるようです。

IMG_3511

もう一枚、船の写真がついていました。こちらは船が立体的に見えます。

IMG_3508

英語で文字が刻印されてます、これはワシントンにある写真スタジオで作られたようですね。
写真自体は1900年の京都、この写真に写っている人は既にもうこの世にはいない事を思うと、なんだか不思議な感じがします。

IMG_3510

こちらはもう少しだけ早くて1897年の撮影です。

時間も空間も越えて、100年も昔の日本の写真をパリで日本人の私が手に取って眺めていることがとても不思議に思えます。異国の写真なんて当時は珍しいものだし、さらに3Dですから、昔の人達はワクワクしながら眺めたのでしょうね。。。素敵な贈り物が嬉しかったです。

 

 

 

Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba

お問い合わせ info@antique-gallery-soleil.com
携帯電話    080-3364-3978
仏電話番号   0033(0)9 53 53 51 47
skype アドレス  antiquegallerysoleil
メールマガジン Soleil Members お申し込みはこちら

リベルタン


中世ヨーロッパではペストの蔓延などで地域によっては死亡率が5割を越していたなど、死が極めて身近なものでした。
愛する者の命が目の前で失われていくのが当たり前の日常の中、人々は死や死後について考え始めます。
死後に神の祝福を得て天国へ召される為に生き残った人々が自然と教会へ集まり、宗教が重要になっていったのは自然な流れだったのです。 同時に、独特の死生観を反映した作品が生まれます。

Holbein-death 死の舞踏 ミヒャエル・ボルゲムート 1493年

死への恐怖感が頂点に達した人々は、埋葬や祈りの最中に狂ったように踊り始めました。それを表現した作品は死の舞踏と呼ばれています。 Danse-Macabre

死の舞踏では誰にでも死は平等に訪れる事を表す為、聖職者、貴族、若者、美少女、などのあらゆる人物が書き込まれる事もがありました。

StillLifeWithASkull

この作品はヴァニタスと呼ばれる静物画です、ヴァニタスとはラテン語で虚無を意味します。ヴァニタスは人生の儚さを表しており、描かれるモチーフにはそれぞれに意味があります。
この作品でいうと、左の花は若さや成熟を表し、右の砂時計は過ぎる時間を表しています、そして正面に置かれた骸骨、これは花で表現された若さに砂時計で表現された時の流れが加わり、いかなる若さにも確実に死が訪れる空しさを意味しているのです。

死を常に意識し神を敬うことが重要だと考えられていた中世の後に、それらの精神的、宗教的な重さを振り払うように訪れたルネサンスでは、人生の限られた時間を神への祈りに捧げるのではなく、縛られない自由な精神を持つリベルタンが登場します。
リベルタンは常識や戒律よりも自らの感じる自然な喜びや、欲望に忠実に生きる事を重んじた人々の事です。

408px-Pierre_de_Brantome

 Pierre de Bourdeille 1540〜16146月15日

フランスの歴史家、伝記作者の Pierre de Bourdeilleはリベルタンの一人でしょう。
名門貴族出身のBourdeille男爵家の三男で奔放な生活を好みヨーロッパ各地を放浪し、軍に入隊後は多くの戦にも参加し功績をあげましたが、1589年に落馬による後遺症で半身不随となり、その後は自身の経験や見聞に基づいた執筆活動に専念します。
今日でも有名なのはles Dames galantesという作品で、性に奔放であったルネサンスの婦人達について綴った作品です。

df_renaissance-cameo-1_original

このカメオはルネサンス時代に作られた特別なカメオです。
女神や神話などではなく、写実的で特殊な人物がモチーフに選ばれているところから特定の人物を表現した作品であるといえるでしょう。このような特別な作品が生まれるには必ず時代背景とリンクした理由があるのです。

diogenes-the-cynic-vatican-city-italy+1152_12877776043-tpfil02aw-28690

ルネサンスには古典主義が生まれましたから、古代ギリシャの哲学者を作品のモチーフとして選ぶ事がありました。このカメオの容貌をよく見ると、古代ギリシャの哲学者の一人であるディオゲノスに良く似ていることがわかります。

450px-Diogenes-statue-Sinop-enhanced

ディオゲノスは極めて自由な精神の持ち主で楽しい逸話が沢山残っている人物です。

アレクサンドロ大王に何か望む物はあるか?と聞かれた時でさえも、日陰になって日向ぼっこが出来ないからからそこをどいて下さい、と答えたなど、物資的な富に興味を示さずにボロボロの着衣で酒樽に住んだと言われています。

常識や戒律に縛られない自由な精神はルネサンスのリベルタンに通じる物があります。おそらくこのカメオの注文主もリベルタンで、自由な精神を持ったディオゲノスをモチーフに選んで作成をさせたのでしょう。本当に素晴らしいカメオ作品です。
そして、このような大型のカメオは装飾品ではなく、家具などにはめ込む装飾用として作られたものです。

 

 

Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba

お問い合わせ      info@antique-gallery-soleil.com
携帯電話    080-3364-3978
仏電話番号   0033(0)9 53 53 51 47
skype アドレス  antiquegallerysoleil
メールマガジン Soleil Members お申し込みはこちら

 

 

古代のコインから読み取れるカメオのモチーフ


99_antique-jewellery-cameo-pendant-3_460x382

美しい19世紀のストーンカメオ、装飾品に特徴があります。ちりばめられた真珠の髪飾り、ネックレス、そして三つ叉にわかれた耳飾りを身に着けています。この三つ叉に別れた特徴的な耳飾りと同じ耳飾りを着けた女性の古代のコインがエルミタージュ美術館所に所蔵されています。

coin-persephone

 

ペルセポネのドラクマ銀貨 エウアイネトス作 紀元前413年〜400年 シチリア シラトゥーズ エルミタージュ美術館所蔵

このコインです。ギリシャコインの中で最も大きなもののひとつであるこのシラクサのドラクマ銀貨には、女神デメテルの娘であり、冥界の神ハデスの妃であるペルセポネが刻まれています。カメオと同じデザインのイヤリングを身に着けている事から、このカメオがペルセポネをモチーフにした事がわかります。ペルセポネは小麦の穂で作った花冠を飾った豊かな髪を持つ若い女性として描かれ、 耳はその豊かな髪に隠されています。これは、ペルセポネが冥界にいる間は地上に豊穣はないということを表現しているのです。またシチリアのオルティージャ島付近に多数生息していたイルカも描かれています。

Dante_Gabriel_Rossetti_-_%22Persephone%22

ペルセポネ 1874年 Dante Gabriel Rossetti   テードギャラリーロンドン

 古代のコインはその都市に関連する神や神話をモチーフに選ぶ事が多いですが、シチリアのコインにもペルセポネだけではなく他のモチーフとも関連があるようです。

Syracuse-Arethusa-Tetradrachm-coin

このコインはシラクサの守護妖精であるアレトゥーズの肖像が特徴的な古代シラクサ硬貨の一つ、ペルセポネの硬貨とほぼ同じデザインです。

アレトゥーサは、アルテミスと同一視される場合があり、また先に紹介したコインのようにペルセポネと同一視される場合もあります。彼女の肖像にも多くの場合、古代にはオルティージャ島付近に多数生息していたイルカが描かれています。

アレトゥーズとはオリンピアの近くで戯れていた水の精の事、川の神アルペイオスが彼女に恋をして追いかけていました。アレトゥーズは月と狩猟の女神であり、また女性の純潔を守る女神でもあるアルテミス (ローマ神話ではディアーナ) に助けを懇願しました。アルテミスは彼女の姿をシラクサにあるシチリアのオルティージャ島の地下から湧き出す泉の流れに変えました。アルペイオスは臆せずアレトゥーズを追って川を地下に流し込んだため、二人の水の流れは永遠に混ざり合い、オルティージャ島にあるアレトゥーサの泉になっているのです。

このデザインの硬貨は、古代ギリシャの貨幣としては最も美しいものの一つでしょう。紀元前5世紀初頭のアルカイック様式から同世紀末のキモンやエウアイネトスの代表作にいたるその急速な発展は、その期間におけるギリシャ文明の急速な発達と軌を一にしているのです。

 

 

Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba

お問い合わせ      info@antique-gallery-soleil.com
携帯電話    080-3364-3978
仏電話番号   0033(0)9 53 53 51 47
skype アドレス  antiquegallerysoleil
メールマガジン Soleil Members お申し込みはこちら

 

 

8月のパリ


998921_10201873367935514_1172972067_n

 

ヴェルサイユの空。
フランスの空は色が濃く、雲の流れもダイナミックな気がします。
8月のパリは静かなので、落ち着いて勉強したり本が読めたりと充実した時間を過ごせています。

今、手元に古代ギリシャのディオゲネスをモチーフにしたルネサンスの素晴らしい美術館級のカメオがあるので、準備が出来次第掲載したいと思います(^-^)

Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba

お問い合わせ      info@antique-gallery-soleil.com
携帯電話    080-3364-3978
仏電話番号   0033(0)9 53 53 51 47
skype アドレス  antiquegallerysoleil
メールマガジン Soleil Members お申し込みはこちら