パリギャラリー ワーキングスペース改装中!No 2


うう、こ、腰が痛いんですけど、、、(^-^;)

でも!!パリギャラリーの地下の改装工事に備えて地下にあった荷物の取り払いがようやく完了したんです!思い切って木の棚類も全部片付けたので、大きなゴミがいくつも出ましたね。

地下から地上階へはパリらしいとっても小さな螺旋階段(可愛い螺旋階段がパリにはたくさんあるんです☆)を使わないと移動出来ないので、大きな木材を運ぶのはとっても大変でした、でもこれもギャラリー改装の為!使いやすい仕事場の為という事で頑張りましたよ(^-^)

壁の色を塗り替えて、新しい家具やソファーなども置くし、元からシャワーも付いてるので(今でも使えるのかな?)住もうと思えば住める?!くらい綺麗になる予定です。

何故か壁に貼られたLOUIS VUITTONのショーン・コネリーのバカンスっぽいポスターは

幸運にも剥がされずに生き延びました。

思いっきりゴミに見えるこの山は全部アンティークの大切な本、資料なんです。だからホコリがかからないように大切に布で覆っています。大きな黒いゴミ袋を何枚も使いました、ゴミ袋さんには是非破れないで頑張ってほしいです。

この二つはとっても大切な機材です、真贋鑑定はおまかせあれ!

改装の様子はまたブログでお知らせします☆

 

 

Parisのアンティークディーラー Akiko semba

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お問い合わせ      info@antique-gallery-soleil.com
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アンティークレッスン No2 ~16世紀の指輪?~


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アンティークレッスン第2回目です。いつも私達はe-mailで世界中から毎日のように品物のご相談を受けていますが、今日はその中から一つ実際にあった相談を例をとしてご説明させて頂きたいと思います。相談内容は16世紀の指輪だと説明を受けて購入した作品について意見を求められました。送られてきた写真はこちらです。

 

 

 

鑑定をするにあたり、確認しなければいけない大切な事はこの2点。

 

I – 年代はいつか?

II – 本物か偽物か?

 

実践編ということで少し難しいと思いますので是非集中して

じっくり読んでみて下さいね。

I - 年代はいつか?

16世紀の指輪ということでご相談を受けましたが、このスタイルの指輪は英語でクラスターリング・仏語ではバーグ ブケと呼ばれ、このデザインは1650年以降に始まり1750年頃まで流行したスタイルなのです。それではリングの特徴を一つずつ細かく確認してみましょう。

 

1)テーブルカットダイヤモンドは17世紀の間により多く使われ、

ローズカットダイヤモンドは17世紀にも使われますが、18世紀の間により多く使われています。

2)ドントレと呼ばれる小さな三角形のような装飾のラインは17世紀の間に、

 

ミルグレーションのような線は18世紀の間に使われています。(ですが、この写真よりも小さなミルグレーションになります。)

3)ベゼルの裏はこの年代は常に閉じられており、開いていることはありません。

4)裏面のエナメル(通常、黒いエナメルに白い点々)は典型的な17世紀のスタイルです。

5)18世紀よりも17世紀の方がシャンクはより深く彫金がされ、そこにブラックエナメルが施されます。

 

以上の特徴から、この指輪が16世紀の作品であるという年代判定は間違っており、このスタイルは典型的な17世紀後期のスタイルであることが分かります。

☆同時に各国の同年代の作品の特徴も簡単につかんでおきましょう☆

☆スペイン、ポルトガル、イタリア、オランダではほぼ全て金で出来た作品が見られます(これらの国はスペインが支配していた為)

☆金とシルバーの組み合わせはフランス、イギリスで良く見られます。

☆テーブルカットダイヤモンドよりローズカットダイヤモンドの方がフランスやイギリスでよく使われています。

 

以上で  I  は終わります。これからII へ進みます。

II – 本物か偽物か?

 

これはとても大切な事なので以下の細かな点を注意深く確認する必要があります。

それでは気をつけて観察してみて下さいね。

1)指輪のトータルデザイン

2)石のカッティング

3)金属のクオリティ、特に金のクオリティ、金の混合物は年代や国によって違うので注意が必要です。

4)装飾のディテール

5)使用感

では確認してみましょう。

 

 

全体の形は問題ありません、イギリスかフランスの17世紀後期のリングと相違ありません。

 

しかし、テーブルカットダイヤモンドとローズカットダイヤモンドが同時に使われているのもありますが、相当に稀(まずないです)ので自然ではなく、違和感を感じます。

メインダイヤモンドのカッティングはこの年代の普通のカットではないようです、なぜなら、カッティングがかなり長方形すぎてカッティング自体に違和感を感じます。

金の色はまあまあ良いようです。

ベゼル裏の装飾から違和感を感じます、またベゼル裏が開いているのはこの年代では全く普通ではあり得ません、(裏を空けるのは1830年以降です。)ベゼル裏の装飾のクオリティは大変低いです。

 

ベゼルを囲むようにミルグレーションが打たれている事は相当に稀(まずないです)ので、この年代の作品としてかなりの違和感を感じますし、数少ない例外も本来はもっともっと小さくてスムースなミルグレーションになるので、このようなざっくりしたミルグレーションではありません。このような装飾は本物の同タイプのリングでは相当に稀です。

 

 

そして、これらのミルグレーションとドントレが混合された装飾も相当に珍しいのでかなりの違和感を感じます。

-鑑定結果-

全体のスタイルは17世紀後期の指輪です。しかし以上の事から、かなり珍しい特徴や通常見られない特徴を一度に備えてしまったこの指輪は、普通ではあり得ない違和感をかなり感じる奇妙なフェイクアンティークジュエリーであると言えます。

ただ気をつけて欲しいのは、鑑定は総合的に判断するものです。極めて稀な例外の一つをリングの中に見つけたからと言って、すぐにそれがフェイクになるかと言うとそうではありません。フェイクであると判断するのにいくつか確認するサインがあります、まず、この指輪のように例外が一度に集まっている事、これはフェイクのサインの一つです。そして、古い年代の指輪であるのにまったく新しい状態を保っている事、これもサインです。このように総合的に判断することが大切です。

そして、このリングは実際に手にするまでは19世紀に17世紀後期の指輪として作られたフェイクであるのか(19世紀のフェイクは裏を空けている事が多いです)現代のモダンフェイクであるのか判定はできません。

この指輪は実際に販売されており、アメリカのテキサスのディーラーからの購入で7900$、日本円で約¥700,000です。これが16世紀の指輪として販売されていたので相談者は16世紀の指輪ではないばかりかフェイクアンティークジュエリーを購入してしまった事になります。

最後に本物の17世紀〜18世紀の同タイプのリングの写真を沢山掲載しましたのでご覧下さい。

17世紀〜18世紀の指輪の雰囲気を感じとれるように細かなディテールなどにも注目してみて下さいね。

 

ここから先はより古いリングをご紹介いたします。

イタリア 1660年頃(販売済)

スペイン 1680年頃

おそらく オランダ 1680年頃

スペイン 1680年〜1700年頃

フランスもしくはイギリス1680年〜1700年頃

スペイン 1700年頃(販売済み)

センターストーンはオリジナルではありません。

ボヘミア,プラハ 1700年頃 (販売済み)

ちなみに、この二つの石はオリジナルストーンではありません、

石のカッティングが違うのが分かりますか?

おそらくボヘミア? 1700年頃(販売済)

フランス18世紀初期(販売済)

 

フランス18世紀初期(販売済)

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蚤の市でハンティング!


毎週末は早朝からとっても大切な仕事があります。

それは蚤の市に出かける事!(^-^)

素晴らしい品物が驚く程に低価格で手に入る事があるし、新しい品物を見るのもとっても楽しいので毎週欠かさず通っています。でも、素晴らしい宝物が出る場所と出ない場所がはっきり別れてしまうし、こまめに買い続けていないと宝物自体を紹介してもらえないので、こまめに通って良い物をこまめに買う事がとても大切、ある日ふらっとでかけても本当の宝物はあまり見つからないのが蚤の市なんです!

旅行者の皆さん、たまにしかパリにこられない方々、ごめんなさい!

蚤の市のディーラー達が宝物をとって置いて待っててくれるので急いでタクシーで向かいます!急がないと〜!

蚤の市到着!

入り組んだ小さな路から出来上がる大きなブロックがいくつかに別れているこの界隈はまるで迷宮、あまり奥へ行くと確実に迷子になります、お店の数は数えた事がありませんが数百件はあって、宝石、家具、絵画、布、彫刻、古代美術等、西洋アンティークならほぼ全てのジャンルのお店が集まっていると思います。

気になる品揃えは高級家具から、一体何に使えばいいの?というような古いネジの一本や香水瓶の壊れたガラスの蓋??まで揃っていて、頭がクラクラする程の店と品数です。。。

この蚤の市にはイギリス、ベルギー、アメリカ、などからもディーラーが品物を買いに訪れるので皆顔見知りです、行くお店も決まっているので、メンバーがそろった時にはあれこれと有益な情報交換が始まり、ちょっとしたミーティングになることもしばしば、これもまた楽しい一時です。

蚤の市の奥にあるセンス抜群のこのお店は、絵画や家具、タペストリー、陶器、小物などいつも美しい作品が集まっています。品物も素晴らしいですがデコレーションの仕方もいつもとっても綺麗、まるでそこに人が実際に住んでいるようなリアルなデコレーションは生き生きとしていてとても暖かみを感じます。美術館にあるような素晴らしい品物もあるのに、我が家のようにほっこり落ち着くようなインテリアの見せ方が素晴らしいです。

このお店の店主のが「今日はこんな品物が出たよ!」と言って奥から衣装箱を取り出して、ガサガサと薄紙に大切に包まれた18世紀の素晴らしいドレスを見せてくれた時の感動は今でも忘れられません!

このお店はとっても綺麗ですが、蚤の市には他にも雑多で味わい深い場所も沢山あるので、リアル蚤の市?!としてまたブログで模様をご紹介しようと思います。

ちなみに今日の収穫は透かし細工がとても美しい百合の紋章のロケットペンダント!かなりしっかりした作りで、ロケットに似合う素晴らしいチェーンもしっかり入手!(^-^)

ご興味のある方は是非お問い合わせくださいね。

 

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パリギャラリー ワーキングスペース改装中!


 

あまり綺麗な写真じゃなくてすみません!

ここはパリの一等地サントノレ通りにあるアンティークギャラリーの地下室です、ワーキングスペースを拡大するため、地下室を改装することになりいろいろ準備をしています。

改装と言ってもアンティークの膨大な資料、本、写真、道具、機材やら何やら沢山あるのでなかなかに大変な作業で、同時に世界中からお客様や品物を売りにくるアンティークディーラー、コレクターもいらっしゃいますし、買い付けにサイト更新に掃除にとお風呂に入る暇もないくらい忙しいです!

私にとって多くを学んだ思い出が沢山あるこの場所もすっきり綺麗にリニューアルされるので作業の合間に写真を撮りました。

このトルソーは18世紀のマリーアントワネットが生きていた時代の貴重なドレス!などを着せて飾る時に使っています。

奥にある暗い道は、なんと秘密の地下道でルーブル美術館の地下へと繋がっているんです!

初めて見た時は好奇心で試しに奥へと進んでみましたが、あまりにも真っ暗で怖かったので途中で引き返してきてしまったので、どれぐらい長い地下道なのか今でもわかりません。。。ここは普段は鍵がかけられています。ちなみにこの地下道には「 まっくろくろすけ」 がいたので、引き返してきた時は顔も洋服もススで真っ黒でした。(笑)

これはインタリオやカメオ、古代のジュエリーを判定する時に補助的に使う顕微鏡。

顕微鏡でインタリオを除くと真贋を含めて本当にいろいろな事が分かってとても面白いです、フェイクがつきもののアンティークジュエリーですが、フェイクインタリオも存在していて日本へも流れてきているので、インタリオの真贋についてもフェイクアンティークジュエリーを説明するアンティークレッスンでしっかりお話したいなと思っています。

今は使っていないガラスのショーケース。ギャラリーでは絵画も扱っています、奥に飾られた女性の絵画は…

 掃除などをしてお客様に見せるために準備中しているところです、柔らかい雰囲気の優しい女性が描かれています。

これから絵画などもサイトで少しづつご紹介させて頂きたいと思っています。

 

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アンティークレッスン No1 18世紀のローズカットダイヤモンドとリングの真贋について


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18世紀のローズカットダイヤモンドリングの真贋についてお話しします。

とても人気のあるアンティークローズカットダイヤモンドですが、ローズカットの全てがアンティークとは限りません。

少しショックをお受けになってしまうかもしれませんが、アンティークスタイルのフェイクジュエリーを作る工房があり、大変完成度が高く作られたジュエリーが本物のアンティークジュエリーとして売られている事があります。

フェイクアンティークジュエリーに関しては、売り手も分かっていなかったり、知っててフェイクを本物として売っていることもあるので、フェイクアンティークジュエリーというものが存在するんだな、と心に留めて置いてください。

 

ローズカットダイヤモンドは、表面がファセットカットで、裏面はフラットなダイヤモンドの事をいいます。

ローズカットは特に1650年〜1850年に使われていました。
1650年以前は、ジュエリーにはテーブルカットや原石のままのダイヤモンドが使われています、そして1850年以前はブリリアンカットが登場します。

ローズカット、というだけで古いダイヤモンドである、というイメージが強いかもしれませんが事実はそうではありません。
ローズカットダイヤモンドというだけでは、その品物がアンティークであるという事にはなりません。
何故かというと、現代でもローズカットダイヤモンドは簡単に作ることが出来るからです、特にトルコ、ポルトガル、インドで製作されています。
なかでもインド産のローズカットダイヤモンドは、品質が低くてブリリアンカットに適さないダイヤモンドを選んで作られており、そのダイヤモンド達はフェイクアンティークジュエリーの工房へと運ばれますので、ローズカットダイヤモンドというだけでアンティークのリングだと安心してはいけません。

こちらは18世紀のローズカットダイヤモンドリング、ダイヤ、ベゼル、リング全てオリジナルです。

(このリングは売却済みです)

では、どうすれば指輪が全て古いと判断できるのでしょう

指輪が本物であると判断するのに大切な事の一つにダイヤモンドの産地があげられます、殆どの古いダイヤモンドの産地はブラジルであり、アフリカではありません。ですが実際はダイヤモンドの産地がどこであるかをすぐに知る事は難しいので、一番良い方法は金細工を確認することです、金細工の技法がその年代にあった古い技術で作られているかどうかを知る事が大切です。

 

わかりやすいように参考画像を掲載しましたのでご確認下さい。

18世紀のリングを良く見てみましょう。アンティークを知るにはまず良く観察することからはじまります。

是非気をつけて確認してくださいね!

まずはこのルビー&ダイヤの指輪をご覧ください。

(このリングは売却済みです)

裏のセッティングの確認はとても大切です、18世紀の指輪の裏面はフラットです、よくご確認下さい。

 そして、ダイヤモンドの裏はオープンセッティングではありません、全てクローズドセッティングです。

クローズドセッティングというのは、裏から見た時にダイヤモンドが見えない事です。オープンセッティングは

この年代ではあり得ない事なので気をつけて下さいね。

18世紀のリングのシャンクは写真のような複雑で繊細な仕事がされていますので、この金細工をよく確認して下さい。

こちらは18世紀のローズカットダイヤモンドのリング。

(このリングは売却済みです)

シャンクにはやはり繊細で複雑な彫金が施されています。

18世紀のリングに施されている金細工は繊細さやデザインに特徴のある彫金です。

裏面の作りも良く見て下さい、18世紀のリングはこのようにフラットな作りなのが特徴です。

18世紀のリングの裏からはダイヤモンドは絶対に見えません!

是非しっかりと覚えておいて下さいね。

こちらはギャラリーで扱っている18世紀のリングです(販売済)

 このリングも18世紀の作品です(このリングは売約済みです)

そして石のセッティングにも注意しましょう、古いリングの土台に新しいダイヤモンドが付け替えられている場合もあります、石が付け替えられている場合は必ず跡が残ります。

また、18世紀のリングにホールマークが打たれている事はごくごく稀で、打たれているマークも大変限られたものになります。このような場合は打ち込まれているホールマークが、本当に古い指輪かフェイクアンティークジュエリーなのか?を教えてくれる場合があります。ホールマークに関してはまた他のアンティークレッスンでお話したいと思います。

18世紀のリングの真贋を見極めるのに大切な事の一部を説明いたしました、これらは経験をつまなければ実際には判断できないことなのですが、フェイクアンティークジュエリーが存在するんんだな、ということを是非心に留めておいて下さい。

 

仙波亜希子

 

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