紀元前6世紀のフェニキアの獅子のカメオのスイベルリング


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ギャラリーソレイユでご紹介する、この指輪は古代エジプトの影響を受けた紀元前6世紀のフェニキア芸術の獅子のカメオのスイベルリングです。希少価値の高さはもちろん、芸術性、コンディション、全てに秀でたすばらしい作品です。この作品をご紹介する前に、フェニキアリングについて真贋も含めて詳しくご説明致します。

 

カメオ彫刻の技術は、古代エジプトでスカラベをかたどった石や印象などが作られていた紀元前3000年頃を始まりとしています。

紀元前2000年代頃、エジプトの宝石職人たちはスカラベの背面に人間や動物などを彫り始めました。エジプト新王国時代(紀元前1580-1085年頃)には、職人たちはスカラベをスイベルゴールドリング(最高級品)のべゼルとしてその他の動物に置き換え始めました。この頃は、多くの場合コーネリアンにホルスの眼や猫、カエル、鷹、ネズミ、獅子などの動物が彫られていました。

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Egypte, New Kingdom

動物が彫られたコーネリアンが配されたエジプト製スイベルリング (新王国時代、紀元前1580-1085年頃)

 

近東でのエジプト統治時代、カナネアに続いてフェニキアは、エジプト芸術に影響を受け、スイベルリングを作るのにエジプトのスカラベを模倣し始めます。そして、紀元前1200年を過ぎると、フェニキアの文明は発展を遂げ始めたのです。

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エジプト式で彫られたフェニキア製スカラベ (紀元前1000年代初期) (イスラエル博物館)

しかし、アッシリア人(紀元前1100年および870-620年)がレバント地方を征服し、スイベルリングやスカラベはエジプトを除いて何世紀にも渡り姿を消すことになってしまいました。

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ステアタイトのネズミが配されたエジプト製スイベルゴールドリング (紀元前1000-500)

 

バビロニア王国のネブカドネザル2世(紀元前605-562年)による軍の攻撃を受けたフェニキアの街は抵抗し、エジプトと同盟を結びました。この時代に、フェニキアの芸術は、再びエジプトの影響を受けることになり、この時代のものと思われるスカラベが配されたスイベルリングが多く発見されています。この流行は、バビロニアおよびアケメネス朝による統治時代(紀元前539年、アケメネス朝ペルシャの国王、キュロス2世によりバビロニアは征服される)および、アレクサンドロス大王にレバント地方が征服(紀元前333-332年)される紀元前5、4世紀まで続きました。そして、スイベルリングは6世紀頃にフェニキア人からギリシア人やペルシア人に受け継がれていくこととなります。

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グレコ・フェニキア製スイベルリング (紀元前6世紀後期) (ウォルターズ美術館)

 

最高級のスイベルリングに対しては、宝石職人たちは銀や銅などよりも高価な金を使用し、スカラベを彫るのにはコーネリアンを使用していました。スカラベの裏面には、エジプトのスタイルを模倣し、意味をなさないヒエログリフを真似た文字や、エジプトの神、ファラオなどの装飾が施されています。しかし、彫刻手法はフェニキアの方法で行われていたため、エジプト製なのかフェニキア製なのかは我々にも判別することができるのです。

 

また、フェニキア製のものには現地の言い伝えである悪霊パズズなどが彫られています。

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悪霊パズズが彫られたコーネリアン・カメオを配したフェニキア製ゴールドスイベルリング (紀元前5世紀) (Content Family Collection)

 

職人たちは例外的にスカラベの代わりにその他の動物を使おうと試みることもありました。その中でも、近東(メソポタミア、アッシリア、シリア)や古代ギリシャでは、獅子は強さや王権の象徴的な動物でした。。。

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ギリシャ製コーネリアンの獅子のカメオ (紀元前5世紀) (メトロポリタン美術館)

 

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ギリシャ製コーネリアンの獅子のカメオが配されたゴールドスイベルリング (紀元前5世紀) (メトロポリタン美術館)

 

« Engraved gems with their backs cut in the form of animals had been common in earlier periods, but the only type to survive was the lion gem… They are all cut in cornelian. The lion are from the basic Egyptian type, with head turned… These gems are not too long to be set on swivels and worn as finger rings.» (John Boardman、 GGFR、 2001、 p.205.)

« 動物の形に彫られた宝石は初期では一般的であったが、最後まで存在し続けたのは獅子のみであった… これらは全てコーネリアンが使用されている。獅子は基本的なエジプトのスタイルで、顔が片側を向いている… これらの宝石がスイベルにセットされ指輪として付けられるまでにそれほど時間を要さなかった。» (ジョン・ボードマン、 GGFR、 2001、 p.205.)

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John Boardman、 GGFR p.205

 

獅子が彫られたコーネリアンのカメオはスイベルリングのべゼルとして6世紀頃のフェニキアの特権階級層のファッションアイテムでした。そして、おそらくはフェニキアのキプロス島から、フェニキア人を通じてペルシャ人、ギリシャ人に受け継がれていったのです。職人にとっては、この装飾をいかに立体的に見せるかが腕の見せ所でした。

 

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フェニキア製コーネリアンの獅子のカメオ、キプロス島 (紀元前6世紀) (大英博物館)

 

裏面に施された装飾やリングの作りをみると、明確にフェニキア製の獅子とペルシャ、ギリシャ製の獅子の違いが浮き彫りになります。

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ペルシャ製コーネリアンの獅子のカメオ (紀元前6世紀)

 

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ギリシャ製コーネリアンの獅子のカメオ (前面と裏面) (ザ・ビーズリー・アーカイブ)(紀元前6世紀)

 

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ギャラリーソレイユでご紹介する、このリングは、紀元前6世紀のフェニキア芸術を非常に良く表していて、コンディションも完璧です。コーネリアンの色は深くて力強く、リングは良質の金です。また、石の状態もとても良く石灰化(熱や酸によって一部白く変色する)の痕もありません。

獅子の仕上がりは精巧で、素晴らしいフォルムとチャーミングで愛らしい細部も楽しめます。裏面のインタリオにはエジプト式の王が彫ってあります。

 

このように、魅力的なフェニキアのリングですが、やはりフェイクジュエリーが多く見られますので、注意が必要です。

 

例えば、エジプト、フェニキア、エトルリア産のストーンを現代の指輪に留めて、古代のスイベルリングとして販売している例が多く見られるからです。本物と偽物を見分ける為のポイントを簡単にまとめましたので、興味のある方は是非お読みください。

〜確認ポイント〜

-材料の組成

-リングの作り、特にワイアが巻きついている部分。ワイヤの先がぷっつり切れていたり、ワイヤの装飾がはじまる位置など。

- 金のパティナ。

これらは言葉で説明しても経験がないと判断が難しいと思いますので、一つ、経験が無くても有効な確認方法をお知らせ致します。

-石とリングの論理的整合性。

これはどういう事かというと、例えば、石とリングが触れ合う部分を見た時に、石に欠けがあるのにシャンクが全くの無傷などの場合です。論理的に考えて、一方だけにダメージがあるのは不自然ですから、この場合は石だけが古く、シャンクが新しいの可能性が高いので注意する必要があります。

他の例では、石が石灰化しているのに、シャンクが無傷の場合も上げられます。石灰化とは何かというと、、、

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石灰化したコーネリアン製インタリオの例
石灰化してしまったコーネリアンは本来の赤と石灰化した白がまだらに混じり、価値が著しく下がります。
このコーネリアンインタリオの価格は約400$になります。

石灰化は石が高熱で焼けたり酸の影響で起こります。ですから、石灰化した石が無傷のシャンクについてる事は考えにくい事です、なぜなら石が石灰化する状況ではもちろんシャンクにも熱や酸によるダメージの痕跡がある事が当たり前だからです。。。

このような理論的整合性を無視した作品がオリジナルの本物の作品である可能性は極めて低く、価値の無い古い石を新しいシャンクにセットして、古代の作品として販売している事もありますから、よく観察してみて下さい。

本物の古代作品を手に入れるのは、簡単な事ではありませんし、もちろん、100%古代のオリジナルのリングと現代のリングに古代の石が配されたものとでは、値段は比較するまでもありません。

 

是非、本物の夢を見るために、注意深く作品に接してください。

 

 

仙波亜希子 Akiko semba

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古代ギリシャと古代ローマのカメオ芸術


 

古代ギリシャと古代ローマのカメオ芸術

 

カメオとは、単色か多層の様々な色が使われた石に彫刻をほどこしたものです。石に彫刻がなされていた紀元前2000年〜3000年のエジプトのスカラベにまでさかのぼります。

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古代エジプトのスカラベ (紀元前19世紀) (メトロポリタン美術館)

 

1 – ギリシャのカメオ

 

沈め彫りとしてのインタリオは個人的な印章として使用されていたという特別な特徴があった為に、浮き彫りのカメオより早く出現しました。カメオにはそのような実用的な機能はなく、本質的には装飾の目的で使われました。最初のカメオは、ギリシャ社会で贅沢の発展に伴い現れたのです。

 

エジプト人とフェニキア人は、カメオ彫刻と、稀に裏側に人間や動物の姿が彫刻されているスカラベを、紀元前7世紀中にギリシャに持ち込みました。また、紀元前6世紀のエーゲ海近辺の金属製のコインの開発は、その後カメオの彫刻を始めることになる彫刻家達を育成しました。

 

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金貨、リディア (紀元前600年)

 

紀元前5世紀、ギリシャ人とエトルリア人はスカラボイド(様式化されたスカラベの形に彫られた石) に神話的なものをいくつか彫刻しました。しかし、私達が知っているような «cameo» は、紀元前4世紀の後半に現れます。その時、暗い背景に対して瑪瑙で明るく強調している対照的な層を使用した、多層のカメオも現れました。

 

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エルトリアのコーネリアン製スカラボイド(紀元前6世紀)

 

The cameo form was invented about the time of Alexander the Great … The Hellenistic and Roman cameo was the response to a rising level of luxury . ” (Dr Martin Henig, Institute of Archaeology , Oxford)

「カメオの形(このカメオとは今日、私たちが知っている通常のカメオの事を説明しています。)はアレキサンダー大王の頃に発明された…ヘレニズムやローマのカメオは、贅沢さのレベルの向上を反映していた」 (マーティン・へニッグ博士、考古学研究所、オックスフォード)

 

私達は、古代の芸術家に関する情報をほとんど持っていません。歴史から分かることは、そのうちの幾人かの名前だけです。例えば、キオスのインタリオの彫刻家Dexamenos (紀元前5世紀に活動)、Pyrgoteles (紀元前336〜323年にアレキサンダー大王の下で従事)、蜂の群れに囲まれながら5層のサードニックスにリラを彫刻したことで知られる熟練したギリシャの彫刻家、サモスのDiodorusなどです。

 

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アレキサンダー大王のカメオの肖像画、Pyrgoteles によって彫られたと言われている (パリ、Cabinet des Médailles)

紀元前3世紀、最高のカメオ芸術は、支配者の肖像を彫刻するために使用されました。カメオの彫刻は、政治的プロパガンダを目的とした一流芸術となります。この時期から存在する最も美しいギリシャのカメオは、プトレマイオスの支配者達の肖像です。

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プトレマイオス2世と アルシノエ のカメオ «Gonzaga cameo »(紀元前3世紀前半) (サンペテルスブルグ博物館)

 

現在博物館で保管されている全てのギリシャのカメオは、ヘレニズム時代から紀元前4世紀の後半以降のものです。

 

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アレースに扮したヘレニズムの王子 (紀元前2世紀)

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   ヘレニズムまたは初期ローマのカメオ (紀元前2世紀)

 

 

 

2 – ローマ

 

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イリアスのテーマで彫刻された素晴らしいカメオ : トロイアスとポリュクセネー (紀元前1世紀) (パリ、Cabinet des Médailles)

 

紀元前2世紀前半、ローマによるギリシャ征服の時代に、ローマでカメオ芸術の趣向は始まり、紀元前1世紀後半に拡大します。紀元前63年、ポントスの王ミトリダテス6世の死後、ローマの将軍スッラとポンペイウスは、彼のカメオのコレクションを押収してローマに持ち込み、美しいカメオは流行となります。

裕福なローマ人は、ギリシャの彫刻家にとって最高の顧客になりました。彫刻家達の中には、ローマに奴隷として連れて来られた者もいました。その後、幾人かの自由なギリシャ人彫刻家は、職人としてローマに定住もしました。徐々に、ローマの彫刻家が学校で育てられ、その地でのスタイルを作り上げていったのです。

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ローマのカメオ、1つはおそらくギリシャ人彫刻家によって彫られたもの (紀元1世紀) 2つ目はローマ人に彫られたもの (紀元2〜3世紀)

 

ローマのカメオのテーマは主に神話でした。ギリシャ人同様、ローマ人もイリアスの英雄を表現することを好んでいました。紀元前1世紀後半、帝政期 (アウグストゥス) の始めからローマの支配者たち、特にユリウス・クラウディウス朝の王子もまた、すでにコインで行っていた様にカメオで自身の肖像を広めたがっていました。いくつかの素晴らしい皇室のカメオ (現在、重要な博物館にて所蔵されている) は、大きな多層の瑪瑙に彫られてます。ギリシャ出身の有名なローマの彫刻家Dioscoridesは、アウグストゥスの肖像の作家です。

 

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アウグストゥスの肖像 (紀元前1世紀後半) (パリ、Cabinet des Médailles)

 

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皇室に関連するカメオ芸術 : 皇帝クラウディウス (およそ西暦50年) と皇帝セプティマスセウェルスの家族 (およそ西暦200年)

 

カメオ芸術は、紀元1世紀以降本当に少しずつ普及しました。多くの職人がより小さく、より低品質のカメオを彫りました。しかし、カメオは常にインタリオより非常に希少で価値がありました。平面的なインタリオよりも立体的なカメオの彫刻ははるかに難しく時間を要した為です。

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2つのローマのオニキスカメオ (紀元2世紀) (ギャラリーにて販売)

ローマ時代に最も一般的に使用された石はオニキス (2層の瑪瑙で、上の層は白い方解石で、下の層は暗褐色または灰色青のカルセドニー) です。時々、宝石を切り出す時に、土台の黒を強調する為に蜂蜜で満たして過熱することにより、コントラストを増しているものがありました。また最高品質のカメオは、3つの層、もしくはそれ以上の層を見ることができました。

 

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3つのローマのカメオ  (紀元2世紀) (ギャラリーにて販売)

 

最小のカメオは、指輪やイヤリングにセットされていました。最大のカメオは、ペンダントや家具の部品に埋め込まれていました。

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指輪とペンダントにセットされているローマのカメオ

 

最も一般的なテーマは :

 

- 皇室のメンバーの肖像 (これらはおそらく皇帝もしくはその家族からの贈り物でした。)

 

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ユリウス・クラウディウス朝の王子の2つの肖像画 (紀元1世紀)

 

- 宗教的な題材: 神々や魔法のシンボル。この場合、これらの所有者は、彫刻された神や女神の保護の下に自分を置こうとしていました。私達は、多くのミネルバ (おそらく軍隊が着用)、メデューサ (メデューサは邪眼から持ち主を守る)、キューピッドを目にすることができます。

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3つのローマのオニキスカメオ、ミネルバ、メデューサ、キューピッド (紀元1世紀〜2世紀) (右の2つはギャラリーにて販売)

 

また、動物 (犬、ライオン、鷲)、幸運の碑文 (ほとんどの場合ギリシャ文字で書かれている)、記号的なもの、日常的なトピックのものもありました。

 

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 Derek Content 氏のコレクションから2つの古代ローマのオニキスカメオ

例えば上に上げた2つのカメオ、上段は結婚の記念のカメオ である有名な«junctio dextrarum »は互いに繋がれた2つの手で、団結、結婚の象徴です 、この場合は必ず2つの手が組合わさったデザインです、そうでなければ意味を持ちません。下段の耳に当てた手は「思い出す」を意味するギリシャの合言葉です。

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2つのローマのカメオ : ペガサスと « junctio dextrarum » (紀元1世紀〜2世紀) (ギャラリーにて販売)

3 – 古代のカメオと言われてる作品への注意点

 

古代のものとされるカメオが提供された時は、いくつかの重要なポイントを確認することが大切です。

 

a- 材質

 

材質の特定 : 貝殻、方解石、玉髄、瑪瑙、オニキス、水晶、象牙、骨、琥珀、そしてガラスまであります。

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ミネルバの高品質ガラスのローマのカメオ (オニキスを模倣) (紀元1世紀〜2世紀)(サイト掲載予定)

 

古代に使用された石は、後の時代に使われる石と同じものではありません。真の専門家は使用された石が古代の石かどうかを特定することができ、それがアンティークかどうか、また石以外のものかどうかを判別することができます。

 

b -彫刻の技術

 

古代の彫刻家は、最近の彫刻家と同じ道具を使用していません。彫りの跡から当時の道具を使って作られたかどうかが分かります。そしてまた、彫りのスタイル、顔の彫り方、髪の彫り方、洋服の彫り方、これらに特徴が出ますから、このような事を気をつけて確認する事が大切です。

 

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踊っているメナードのローマのカメオ (紀元1世紀〜2世紀) (トーヴァルセン美術館)

 

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ライオンに乗るキューピッドのオニキスカメオ。このテーマは古代ローマですが、彫刻の技術はローマ時代のものではありません (17世紀)

このように古代ローマのカメオのように見える後世の作品が多くあります。

 

c- 描かれているテーマ

 

専門家は、完璧にテーマを特定することができなければなりません。例えば、ギリシャの神とローマの神をごちゃ混ぜにしたり。シレニュスとコメディアンマスクを混同しない、など。

例えば、、、

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古代のカメオ、古代のインタリオの専門家になるには長い時間を必要としますが、深い知識を備えた専門家は正確な題材を間違いなく認識できます。

例えば、左上の緑色のインタリオの題材が愛らしい希望の女神SPESであるとすぐにわかるのです。それは右上の古代のコインや、下の美術館のカタログなどにも資料が掲載されています。(インタリオはギャラリーにて販売)

 

 

古代には決して現れなかったテーマもあります。例えばあるテーマは特定の時代では典型的ですが他の時代ではそうではありません。ドレスや髪型の流行もカメオ (またはインタリオ) の時代判定にとって重要な要素となります。真の専門家は、人物のドレスや髪型を研究することで時代を識別する事ができます。例えば、ある種類の鎧や兜、ある形の髭は、古代ギリシャ時代には存在しましたが、アウグストゥスの時代には存在しなかったものがあります。

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ギリシャの哲学者のオニキスカメオ。テーマはローマ時代ですが、髪型と髭の形はローマ時代ではありません。 (17世紀)

 

d- 時代

 

もちろんこれが最も重要なポイントです!

 

幸いなことに、アンティークのカメオの現代のフェイクは非常に少ないです。なぜなら、それらはインタリオや金の宝石よりずっとずっと模造が難しいからです。ただ残念なのは、カメオの時代の特定ミスが多いことです。

博物館の外部には、ギリシャのカメオがほとんど存在しないことに注意して下さい。あるカメオがギリシャのものだと言われた場合、90%は最高でもローマ時代のもので、最悪の場合は、中世、ルネサンス、または最近のものです (17世紀〜19世紀)。

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このカメオはグレコローマンのものに見えます…しかしこれは…13世紀の間に彫られたものです!

 

良質のローマのカメオは極めて稀で、本物のカメオは高価です。そして殆どのカメオは低品質です。ローマのカメオと、後の時代 (16世紀〜19世紀) のカメオはよく混同されます。

 

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ローマ皇帝…17世紀のオニキスカメオです。

 

材質、彫刻技術、テーマを深く深く研究することで、真の専門家は時代が判別可能となります。

 

真の専門家は、これら全ての要点について完璧な知識を持っていなければなりません。

 

4 – まとめ

 

いわゆる古代カメオに興味のある方が気をつけなければならない事は、自分が購入するカメオ (またはインタリオ) の材質は何か、テーマは何か、そして最も重要なことですが、それがどの時代の物なのかを正確に知ることです。ギリシャのカメオ、ローマのカメオ、そしてより最近のカメオでは、価格が完全に異なるので注意して下さい。

 

価格が非常に高価である場合は、特に慎重になって下さい。古代カメオの真の専門家は、カメオのテーマと時代を確認するために、博物館の同等の品や資料ををいくつかみせてくれるでしょう。そうでない場合は、この専門分野で認められた専門家の証明書を提示してくれるでしょう。

 

例えば、私の最も信頼している古代カメオと古代インタリオのフランスの専門家は30年のキャリアがありMichel DuchampやJean-Philippe Mariaud de Serresのような有名な学者や専門家と知識を共有しています。そして、フランス国立図書館、Cabinet des Médaillesの専門家と意見交換を行い、作品を説明する時には必ず美術館所蔵品などの資料を提示します。

 

高価なカメオ (またはインタリオ) と言われているものについて何か疑問がある場合、クリスティーズなどにアドバイスを貰うのも良い事だと思います。

 

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 カメオ 若いサテュロスとプリアップ、後期ルネサンス(ギャラリーにて販売)

 

 

仙波亜希子 Akiko semba

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アンティークレッスン アンティークジュエリーの真珠 


アンティークレッスン 天然真珠について

 

本物の天然真珠とその他の真珠(養殖と淡水)の違いをお話します。

人間の目では天然真珠か養殖真珠かの確実な識別はできません、養殖真珠の特徴などもありますが、それだけでは確実とは言い切れないのです。

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天然真珠を使ったオークションのカタログ、それぞれのネックレスの鑑定結果が掲載されています。

アンティークの真珠を使ったジュエリーを紹介しているオークションでは必ず、天然真珠を科学的に識別した鑑定書がついているように、いかなる場合も天然真珠か養殖真珠かを識別するには鑑定にかけなければ分かりません。

アンティークジュエリーについてる真珠はすべて天然だから大丈夫!と思ってませんか?そうではありませんから、真珠のついた高額なアンティークジュエリーを購入する時には是非心に留めておいて下さいね。実際にアンティークの真珠ネックレスを鑑定に出した結果も掲載していますので、是非お読み下さい。

 

1− 天然真珠と養殖真珠

 

最も需要なポイントは天然真珠と養殖真珠の違いを知る事です。

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真珠はある種の小さな物体または異物が貝の内部に結合して形成されます。この貝の反応が結晶と有機物の結合物である真珠層を形成します。この真珠層を形成しながら異物を包み込み、最終的に真珠ができあがるのです。

 

天然真珠は自然に、そして偶然に、異物が貝の核である中心部または体内に入り込んで形成されます。

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 天然真珠の断面、年輪のような模様が見えます。

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養殖真珠の断面、年輪のような模様はなく、大きな核の周りに真珠層があるのがわかります。

 

養殖真珠は人工的に異物または「核」を貝の内部に挿入します。養殖者が真珠の形成を促進し、真珠は天然のものと同じ過程で形成されます。唯一の違いは偶然に形成が始まるか、故意に始めるかということです。

真珠の種類は様々な要因により決定されます。真珠のご購入前に天然真珠と淡水真珠、アコヤガイの真珠、タヒチ産・オーストラリア産の真珠、その他の多様な真珠の違いについて知っていただかなくてはなりません。ある種のものは他のものより貴重であり、貴重なものほど高価になります。

それぞれの種類の真珠は異なる種類の貝によって作られます。様々な貝は世界の異なる場所に異なる気候で生きており、それらの要因が真珠の特徴を生み出します。

覚えていただきたい大切なポイントは、天然真珠と養殖真珠の値段は全く違うということ。同じサイズや形、品質でも価格の差は20倍、30倍、40倍になるのです。

天然か養殖かの違いは肉眼ではわかりません、専門家でさえも天然真珠と高品質な古い養殖真珠を見間違うこともあるからです。

 

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1つアンティークの真珠のネックレスの実例を挙げますね。最初、このアンティークの真珠のネックレス ↑ は天然真珠に見えました。しかし確認のため鑑定所へ持っていき、鑑定の結果、一つの真珠が養殖真珠だった事がわかりました。このように人間の目で見ただけで違いに気づくことはほぼ不可能です。

ちなみに、養殖真珠だったのは、、、

 

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答えはこちら、黒い点で示されているのが養殖真珠でした。

 

 

2− 天然真珠

 

天然真珠はある異物が貝の内部に入り込んだ時に不規則に形成されます。異物に対する反応で、貝はカルシウムの結晶と有機物の結合物である真珠層を形成します。これらは徐々に異物の周りに層を作っていきます。

 

天然真珠は非常に貴重です。20世紀、養殖真珠は天然真珠に取って代わり、今日では、天然真珠はほとんど古いジュエリーでしか見かけなくなりました。ペルシャ湾付近で見つかった少数の天然真珠とアメリカの上質な淡水真珠をのぞき、天然真珠の取引はほとんどなくなったと言えるでしょう。

 

この数年間、真珠の製造は増加しています。サイズや形、真珠の色は様々な要因によって決定されます。その要因は元々の異物のサイズや形、貝が海水に住んでいるか淡水に住んでいるか、貝が住んでいる地域などで変わってきます。

 

 

3− 天然真珠の品質

 

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品質、つまり天然真珠の価値はさまざまな要因によって決定されます。真珠層の厚み、光沢、表面の手触り、形、色、サイズなどが考慮されます。

この真珠層は真珠が実際に形成した物質で、この真珠層の厚みは粒の色を変え、品質を左右しますので、真珠層が厚いほど値段も高くなります。

真珠の光沢は色の鮮やかさと反射率で測ります。品質の良い真珠は明るく、輝いており、反射で自分が映せるくらいです。品質の劣る真珠は青ざめて光沢がなく白っぽく見えます。一般的に、海の真珠は淡水真珠より強い光沢を持っています。

真珠の形もまた真珠の価値を決める上でとても重要です。美しい球体の真珠は楕円形や洋梨型の真珠、いびつな形のバロック真珠より常に高価です。

真珠の色は価値にはあまり重要ではありません。白から黒まで様々な色の粒があり、天然の色は銀やクリーム、シャンパン、ピーチ、緑、青などです。真珠の色の見え方は光にもよります。電気の光と日光では同じ真珠でも違う色に見えるでしょう。

真珠のサイズはその価値において最も重要なポイントだと言えるでしょう。サイズは「mm」で測られます。3mm以下のものの価値は低く、5mm以上のものの価値は高くなります。特に8mm以上の天然真珠の価値は非常に高くなります。

今後も価値があがる真珠は、3mm以上の小さすぎない丸い形で、表面ができる限りなめらかなもの、そして美しい光沢のあるものです。

 

4− 淡水真珠

 

淡水真珠は養殖ですが100パーセント真珠層で作られています。養殖真珠は明るい光の中で見える核を持っていますが、淡水真珠は真珠層しか見えません。レントゲンを使うとはっきり違いがわかります。

淡水真珠を作るために、養殖者は貝に50回程度核を入れますが、アコヤガイの場合は5回以上入れることができません。

淡水真珠は湖や川で養殖するため、嵐やハリケーン、病気などの海の問題がなく、より簡単に養殖できます。そのため、上に述べたようなアコヤガイの寿命の方が問題になります。

5− 天然真珠と淡水真珠の違い

 

天然真珠と淡水真珠の違いについて写真を交えてお話します。天然真珠と淡水真珠の価値はまったく違います。例えば、サイズ3mm程で、いびつな形をしていて、 200カラットの真珠だとすると、淡水真珠の価格は500ユーロに対して天然真珠では20000ユーロにもなります。かなり大きな差があります。ですから、淡水真珠を天然真珠と思って購入してしまうと、大変な損をすることになってしまうのです。

これほどの価格差がありますが、天然と淡水の違いはなかなかわかりません。例えば、、、

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これらは全て天然真珠です。

 

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天然真珠を拡大したものです。

 

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こちらはすべて淡水真珠、白っぽい色です。

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拡大してみるとそれほどの違いはありませんが、色の白さに差があり、淡水真珠は少し輝きが弱く、光沢があまりよくありません。

 

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では、天然真珠と淡水真珠の束を混ぜて置いてみました。この3本の真珠の束、どれが天然真珠でどれが淡水真珠でしょうか?

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答えは一番下に置いた真珠の束が天然真珠でした!実際に混ぜてしまうと真珠の事を良く知っていないと分からないと思いませんか?

 

6− 結論

 

天然真珠の値段は近年非常にあがってきています。この価値はこの先何年もあがっていくでしょう。しかし、それは高品質なもので、3mm以上の小さすぎないものだけです。

 

天然真珠をご購入になるのはとても良い事です。今日、天然真珠は古いジュエリーでしか見られなくなっています。しかし、こちらも注意が必要です。古いジュエリーに付いているからと言って天然真珠とは限らないからです。

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どういうことかというと、天然真珠の価値が高騰するにつれて取引業者の中には古いジュエリーから天然真珠を取って他のものに用い、代わりに養殖真珠を付ける者もいるのです。

また、いわゆるアンティークジュエリーのなかにも養殖真珠や淡水真珠が付けられているのも多く見かけます。それは、その作品自体がアンティークジュエリーではなくて、フェイクアンティークジュエリーだからです。

まず、ジュエリーそのものが本物であるかどうかをしっかりと確かめることをお勧めします。品質証明、デザイン、原料、金属、ホールマークなどをしっかり確認しましょう。(例えば、ホワイトゴールドは1920年、30年より以前にはジュエリーに使われていません。)天然真珠がついた貴重なアンティークジュエリーだと思っていた作品が、フェイクジュエリーの淡水真珠の作品だったら、、、価格も価値も全く違うものになるのです。

 

安全に高価な「天然真珠」のジュエリーをご購入になりたい場合は、真珠が天然のものであるかどうかを必ず知る必要があります。それは鑑定書を得る事が唯一の方法です。この鑑定書は簡単に手に入り、高いものではありません。高価な真珠の品をご購入の際には鑑定書の依頼をすることをおすすめ致します。

 

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このネックレスの場合はクラスプ付近の小さな真珠のみが養殖真珠でした!

今回のレッスンを制作中に考えましたが、これからはギャラリーソレイユでは、天然真珠のネックレス、アンティークジュエリーに付いている大きなサイズのな天然真珠については鑑定書をお付けする事にしました。それは、私自身もお客様にご紹介する真珠が本当に天然真珠であるかどうかを確認したい事と、将来お客様をがっかりさせたくないからです。もちろん、養殖真珠だとわかった真珠は天然真珠に変えるか、適したサイズの天然真珠が見つからなかった場合には、その分のお値段をお引きして、証明書と一緒にお届け致します。

 

 

仙波亜希子 Akiko semba

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18世紀ブローチまたはイヤリングの年代を見極める手がかり


18世紀ブローチまたはイヤリングの年代を見極める手がかり

 

18世紀の指輪については、リングのアンティークレッスンでご説明致しました。今回はブローチとイヤリングの年代を見極める方法をご説明致します。いわゆる18世紀のジュエリーを観察する際には、注目すべき4つの状況があります。

1) ジュエリーが完全なる本物の場合。

本物のバロックジュエリー自体が非常に希少です、そしてリペアがまったく無いバロックジュエリーを見つけることはさらに希です。リペアがあった場合には、リペアの善し悪しがありますから、注意してください。

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非常に素晴らしい17世紀後半のゴールドのエレメント、ダイヤモンド、エメラルド、エナメルが施されています。このエレメントはクロスの上部でした、今はそのクロスが欠けています。リボンに掛けるためのオリジナルのバチカンは、今も裏側にあります。しかし、それは小さかったため、宝石職人がより大きなものを19世紀に加えています。バチカンを良く見てください。デザインの違い、 製作方法、宝石の留め方、エメラルドの産地 (ブラジル産)によって、この修繕の痕跡がはっきりと分かるのです。この作品はオリジナルの状態ではなく、修繕がされていますが、それは問題ではなく、大変美しい17世紀ジュエリーのパーツの一つとして希少な作品です。

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18世紀 « girandoles» ピンク色ホイルにトパーズを付けたイヤリング

そして、宝石についても注意してください。この時代のジュエリーの多くは、本物の宝石ではなく、人造宝石が装飾されている事がありますから、特に人造宝石に注意してくださいね。

例えば、着色されたホイルの上に宝石を置いて、宝石の色を強めている場合があります。 時には、宝石自体には色がほとんど無く、単にホイルによる色が反映されているだけの場合もあります。ピンク色の宝石には特に注意しなければなりません。

 

2) ジュエリーが現代製のフェイク。

ジュエリーのデザイン、製作方法、金属による宝石の留め方、宝石のカット、宝石の産地など、これらはそのジュエリーが本物であるか否か知るための手がかりになります。

3) ジュエリー の一部が本物。

例えば、リングのベゼルは18世紀のもので、フープはオリジナルではない場合(フープが現代の物、又はアンティークの物ではあるが、別のジュエリーのフープを使用している等)そのスタイルと現代の手法がフェイクである事の証拠になります。また、本物のパーツと他のパーツの間にあるはんだ付けの跡にも注目してみてください。

これについては« リングのアンティークレッスン»で詳しく説明していますから、是非ご覧ください。

 

4)19世紀のジュエリー18世紀と間違って説明されている。

 

この状況はアンティークマーケットでよく見られます。18世紀のジュエリー(ジョージ王朝時代前半)と呼ばれている作品の中には、18世紀ではなく19世紀の作品の場合があります(ジョージ王朝時代後半またはヴィクトリア王朝時代)。何故このような事が起こるかというと、その理由は、19世紀前半に 、昔の方法でジュエリーを製作し続ける職人が存在したこと、またそれ以降の時代 (1850-1870年のフランスのナポレオン3世時代や、1890 – 1915年のベルエポック時代)に、18世紀スタイルジュエリーが流行していたからです。

 

今回のレッスンでは、ブローチとイヤリングの年代を確認するための手がかりを紹介します。その方法とは、まず裏側を見ることです!

イヤリングはフックを、ブローチは留め具やピン、ヒンジを観察することが、ジュエリーの年代を特定したり、異なるシステムが使用されているかを判断したりするための最も簡単かつ正確な方法です。

 

I – ブローチ

 

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胸元を飾るジュエリー ストマッカー このジュエリーにはブローチピンは無く、ドレスにそのまま縫い付けていました。

17世紀と18世紀には、ブローチは流行していませんでした。その代わりにストマッカーと呼ばれる、裏にブローチシステム の無いジュエリーを直接洋服に縫い付けて使用していました。また、リボンで首元に留めるペンダントを使用していました。

一般的な« T-C» システム(ヒンジとピンがTのように見える、キャッチはCの形)は、18世紀には非常に珍しいもので、イングランドなどで小さなモーニングジュエリーに使用される程度でした。

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オリジナル « T-C »システムを使用したイングランドのモーニングブローチ。

この18世紀のシステムデザインは、19世紀のものとは異なります。

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« T-C»システムは、ヴィクトリア王朝時代で主に使用されていました。この時代のブローチピンは、とても長く、ブローチの外まで伸びているものが普通でした。これはヴィクトリア王朝時代 の厚い生地にブローチをしっかりと留め付けるための補助が目的でした。また、セーフティクラスプが発明されるまでは、ブローチが外れないように保護の役割も果たしていました。

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後期世紀が変わる頃、ヒンジはより小さく丸くなりました。Cクラスプと小さなヒンジ(チューブヒンジでない)を使用したブローチは、1800-19世紀後半のものです。そして、ブローチピンも短くなってゆきました。

このシステムが完全に安全ではなかった事から、新しいシステムが生まれます。

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それが« trombone clasp »です、このシステムは19世紀後半に登場します。チューブ型の留め具を引いて開ける様子が、トロンボーンに似ていることが名前の由来です。トロンボーンシステムはフランスではsystème à pompeと呼ばれています。

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« safety clasp »オリジナルスタイルのセーフティクラスプは、1910年頃に開発されました。これらは現代の物とは仕組みが少し異なります。レバーが上向きではなく下向きに巻きこれまれています。それは基本的に留め金のあるCクラスプのような形状です。

1920年代頃、現代の折り込み式のセーフティークラスプが発明されました。これは重いジュエリーをしっかりと留めることができます。そのおかげで、ブローチはより機能的になり、現代女性のアクティブなライフスタイルにもブローチを安全に使用できるようになりました。

もしこれらの取り付けシステムが、18世紀と思われるジュエリーに施されている場合、二つの可能性があります。

1) ジュエリーが19世紀 (もしくはそれ以降)

2) ジュエリーは18世紀であるが、後にブローチに作り替えられている。この場合、ブローチとシステム間にはんだ付けの痕跡が見えます。もしブローチシステムが後から付け加えられている場合、それは簡単に見て分かります。はんだ付けの痕跡がなく、システムがオリジナルに見えるなら、そのブローチは18世紀ではなく、おそらく19世紀です。そして気をつけて頂きたいのは、18世紀と19世紀のジュエリーでは価値も価格も違うということです。

実際に18世紀のジュエリーに、19世紀か20世紀にピンをつけた例をご紹介致します。

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19世紀または20世紀に製造された18世紀ブローチにおける3つのエレメント。一つ目はイヤリングのトップ、二つ目はリング、三つ目は洋服に直接縫い付けられた小さなエレメントです。

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ブローチに作り替えられた、18世紀のポルトガル «girandoles» イヤリング。トパーズが付いています。

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18世紀前半のスパニッシュのゴールドとダイヤモンドのストマッカー、裏面を見ると、、、

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ブローチに作り替えられている事がわかります。

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ブローチに作り替えられた、18世紀 フランスのペンダントです。リボンを通す為のオリジナルのフープが残っています。

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ブローチに作り替えられた、18世紀 スパニッシュゴールド エメラルドペンダント。リボンのためのオリジナルフープが中央に残っています。ストマッカーからブローチへ作り替えられたジュエリーは、その他にかえられている部分がなければ、それほど価値に影響はありません。

 

II – イヤリング

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17世紀と18世紀にはイヤリングは珍しいものでした。理由は、一般の人々がそれらを使用していなかったことです。使用していたのは貴族のみで、しかも宮廷での舞踏会などの非常に特別な機会だけでした。そのため、この時代のイヤリングは驚くほど重く、« girandoles » と « pendeloques »のようにとても豪華なデザインでした。さらに、イヤリングには、リボンでウィッグ に掛けるための特別なシステムがありました。フープに追加のリングをはんだ付けし、イヤリングの重みをウィッグで支えられるようにすることで、もしホックが突然開いて耳から落ちたとしてもイヤリングを紛失することがありませんでした 、これは高価なジュエリー用の当時のセーフティシステムです。

 

18世紀イヤリングのオリジナルシステムは、現在で使用することはほぼ不可能です。理由は、現代の耳穴には当時のホックが分厚過ぎるからです。また、それらのイヤリングはシルバー製であったため、私たちは着用する際にアレルギーを起こす可能性があります(ゴールドやプラチナにはアレルギーはありません)。もし、イヤリングをリボンでウィッグに取り付けるなら別ですが、このアンティークのシステムは、あまり安全とは言えません。

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18世紀後半の « clusters »イヤリング。オリジナル システムを使用し、シルバーの上に人造宝石を置いている。イヤリング をウィッグにかけるための非常に分厚い ホックとリボン取り付け用のシステムです 。

 

そのため、当時のシステムのままのイヤリングは、後の時代により快適で安全なアレルギーの少ないものに取り替えられるようになりました。もし、他に何も取り替えられなければ、オリジナルのシステムではなくてもイヤリングの価値には影響しません。

 

もし 18世紀のイヤリングを購入したい場合には、このシステムを良く確認する必要があります。もしシステムが18世紀の物ではない場合、難しいと思いますが、そのシステムが後に付け加えられたものかどうか、本体とフックの接着面をよく見てください。もし、付け加えられていたらそのイヤリングは18世紀の可能性がありますが、付け加えられていないように見えたら、そのジュエリーは19世紀もしくはそれ以降のものであるという証拠になります。

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オリジナル システムの17世紀後半のゴールドとダイヤモンド   « pendeloques »イヤリング

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オリジナル システムの18世紀中頃の « girandoles » イヤリング 。ダイヤモンドとルビーが付いている。 

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オリジナルシステムの18世紀の « girandoles »イヤリング。マザーオブパールが付いている。 

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オリジナルシステムを使用した、18世紀後半のポルトガル « pendeloques »イヤリング二つ。クリソベリルが付いている。左側には、リボンをウィッグに取り付けための追加リングがある。 

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18世紀後半のポルトガルの« pendeloques » イヤリング。 クリソベリルが付いている。オリジナルのホックがスリムなものに変更されている。

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III – まとめ

 

もし、あなたが、17世紀や18世紀のヨーロッパの優雅な貴族社会や、王妃マリーアントワネットやポンパドール夫人が生きていた頃の舞踏会を想像して、当時のジュエリーを所有する事を夢見るなら、是非気をつけてください。

あなたの純粋な夢を守るために、当時のジュエリーを見極めるポイントを説明しました。文章を読んだだけでは見分けるのは難しいと思いますが、アンティークマーケットには、沢山のフェイクや作り替えられた« half-fake »(半分が本物、半分がフェイク)が存在している事を知ってください。

19世紀のスタイルのジュエリーを18世紀と勘違いして購入しないよう気をつけてください、そして、18世紀のジュエリーのパーツを後の時代に、リングやブローチなどに大幅に変更したものや、ベゼルのみが本物でフープがモダンのリングなどは購入されない方が良いでしょう。

是非、17世紀、18世紀からそのまま残り続けた美しい本物のオリジナルのアンティークジュエリーを購入して頂きたいと思っています。フェイクジュエリーには、金属と宝石の価値のみしかありません。また、作り替えた« half-fake »ジュエリーの価値は殆ど無い場合があります。

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私が身につけているのは本物の18世紀のシルクのドレスです(^-^)

とにかく手刺繍が繊細でした!

着用するのが大変だったので、着替えに侍女が必要なのが良〜くわかりました!

アンティークレッスン、お品物のご質問等、お気軽にご連絡下さいね(^-^)

 

 

仙波亜希子 Akiko semba

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