Soleil members の皆様、おはようございます。
アンティークギャラリーソレイユの仙波亜希子です。
いつもサイトをご覧頂きましてどうもありがとうございます。
先日の東京展示会へ、期間中にお越し下さった方々、誠にありがとうございました(^^)
なかなか日本で作品をご紹介することが出来ないので、皆様にお会い出来たことがとても幸せでした。
今回ご予約をお取りすることが出来なかった方々、またの機会にお会い出来ることを楽しみにしております。
展示会を終えてパリに戻ってから、休暇でドーヴィルへ行ってきました。
ドーヴィルはパリから二時間くらいで行ける海です。ドーヴィルは海の他にはカジノやブランドショップ、別荘などがある高級リゾート地なので、あまり興味がわかなくて行ったことはありませんでしたが、細かなアンティークを集中して見ていると大きな自然が恋しくなってくるので、とにかく大きな海が今すぐ見たい!ということで電車に揺られて行ってきました。
宿泊したこの写真のホテルはお値段の割にはお部屋が狭くて(泣)到着してすぐにドーヴィル代(笑)に驚きましたが、気を取り直して、町散策をしてきました。
まち全体は可愛いんです、ブランドショップが沢山あって、ルイヴィトンもこの可愛らしさ、キュートです。
ここは小さなエルメス、こんな感じでどこも可愛さに溢れています。町に見所が沢山あるわけではないので、一日で観光できる広さでした。
本来の目的の海です、この海の為にパリからやってきたんです、海に沈む綺麗な夕日をゆっくり見る事ができました、、、あ〜、やっぱり大きな自然はいいですね〜、、、幸い本格的なバカンス直前ということで人もまばらで、浜辺も広くて気持ちよかったです、でも、途中で雨が降ってきてしまって、生暖かい雨に打たれながら濡れネズミになってしまいました(笑)まあ、それもまた良い思い出なのですが(^^)
せっかくですからカジノも見に行きたかったのですが、雨で濡れネズミですから、やめておきました(^^)
パリから近くて日帰りも出来る海ですから、今度は本でも持ってふらっと行きたいなと思います。
ではでは、今日ご紹介する作品はこちらです!
このブローチは、パリでアンティークを探している時に、カラフルで目を惹く独特の雰囲気の素晴しい作品が遠くに飾られていることに気がつき、「もしかしてファリーズ?!」と思いながら、歩いて近づき手に取って、ファリーズだと確信に至った作品です。
華やかで類い稀な圧倒するような重厚なエナメル、ずっしりとした素晴しい重み、際立つ独特のデザインと優れた作りが一際目を惹き、サインが無くてもフランスのジュエラー、ファリーズによって制作された特別な作品であることが分かります。
リュシアン・ファリーズ
ファリーズはアレクシス・ファリーズ、リュシアン・ファリーズ、アンドレ・ファリーズの3代に渡って、1838年から1936年まで続いたメゾンです。万国博覧会でのグランプリ受賞や王室宝飾品の制作、ルネサンス様式などのジュエリー、今回ご紹介するような素晴しいエナメルを駆使したジュエリーで成功しました。
アレクシス・ファリーズ作
そして、私たち日本人にとって興味深いのは、浮世絵に影響をうけたエナメル作品も手がけていることです。アレクシス・ファリーズは日本の浮世絵を多く所有しており、日本の様式のエナメル作品をエナメル作家のアントワーヌ・タールと共に制作をしています。
今回ご紹介するブローチは優れたエナメル作品を多く制作したファリーズならではの、素晴しいエナメル作品なのです。
まず、その美しさを是非動画でご覧下さい、こちらからご覧頂けます。
この多彩で複雑なエナメルの素晴しさ、作品自体が宝石のような華やかなデザインに目を見張るばかりの作品です。
とにかく圧倒的な美のオーラに溢れています。
どこを見てもバランスの取れたデザインで、密度のある美しさに全く隙がありません。試しに、細かなデザインの一部、例えばグリーンエナメルの中央の四角い赤のエナメル装飾を手で隠して、もしこの装飾がなかったら?と想像してみると、この赤の装飾は絶対にあった方がよいことに気がつくのです。とにかく細かな部分まで完成されたデザインなのです。
きっちりと細かく施されたエナメル、多色のエナメルを駆使する高度な技術を感じます。
そして、このサファイヤの美しさ、覗き込むと、すみれ色の輝きが奥へずっと続いているかのようです。周囲にセットされた3つの小さなダイヤモンドの白い輝きも大変良いアクセントになっています。それに、三角にカットしてあるサファイヤの斬新な使い方がまた素晴しいです!例えば、このカットが四角だとまとまりが悪くなりますし、丸型だとデザインの面白みが半減しますから、ここは絶対に三角にカットするべきなのです。色からおそらくセイロンサファイヤだと思われます、このデザインの素晴しさは、石自体の美しさがあってこそなのは言うまでもありません。
ブローチの下には淡く同時に深い色の美しいドロップ型のサファイヤが垂れ下がるようになっています。
ゆっくりを咲く花を思わせる赤いエナメルとの組み合わせもとても素敵です。
この作品はエナメルが素晴しいだけではありません。作品全体に感じられる内側から盛り上がるような、ふっくらとした厚みからも作りの良さが感じられます。
この裏面の作りの堅牢さ、丁寧な仕上げの美しさをご覧下さい、ジュエリーとは、このように作るもの、というような仕上がりです。
ピン部分の作りもたいへん丁寧でしっかりしています。
それでは、ファリーズの本に掲載されている類似の作品を数点ご紹介致します。サインドピースでもサインがない場合は沢山ありますから、類似の作品との比較がとても重要になってきます。
今回ご紹介しているファリーズ作品と全体の雰囲気や細かなディティール等がとても良く似ています。是非、類似点を感じ取ってみてくださいね!
エナメルを用いたジュエリーで、ここまでの完成度の作品はそうそう見かけるものではありません。遠くから見ても、この作品が特別な作品であることがわかる程の美の力を放っているのです。
ファリーズ作品は、ピアスや、ペンダントの繊細で美しい小さな作品を見つけることができて買い付けてきました、今回の作品は、今までご紹介してきたタイプとはまた違って、ずっしりとした重みがあり、堅牢な作りのファリーズの大作です。
どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
Falize ファリーズ エナメル サファイヤ ブローチ
フランス 1880年頃
エナメル サファイヤ ダイヤモンド 18K
大きさ 5,6cm×3,5cm 25,6g
価格はお気軽にお問い合わせ下さい。
仙波亜希子 Akiko semba
お問い合わせ info@antique-gallery-soleil.com
携帯電話 080-3364-3978
仏電話番号 0033(0)9 53 53 51 47
skype アドレス antiquegallerysoleil
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Soleil members の皆様、おはようございます。
アンティークギャラリーソレイユの仙波亜希子です。 いつもサイトをご覧頂きましてどうもありがとうございます。
ちょっと気分を変えて、こちらのブログでメールマガジンを配信してみました。
日本はとっても暑いようですが、パリも先週くらいから気温が急にあがってきました〜、いよいよ夏へむけて準備開始という感じですね!
朝から晩まで細かいアンティークを見たり、PCとにらめっこしたり、写真や動画を撮影したりしていると目が本当に疲れるので、目を休めに週1くらいで出勤前にパリ郊外の森へ行くのですが、朝早く出かけないと森の散歩も暑くて帽子が必要なことに気がつきました。
この森で小さな生き物や季節によって咲く花をチェックするのが大好きなのですが、先日は可愛いオタマジャクシが沢山見られたのでとても幸せな気持ちになりました。昔のジュエラー達も気分転換に、この森を訪れたのかな、、なんて思ってみたり、しています。
森の写真を掲載したくて、写真整理をしたところ、上の写真が出て来たので掲載します。この写真は以前ブログでもご紹介したかもしれないですね、去年の秋くらいの写真だと思うので、季節感が出なくてすみませんが、なかなか神秘的なカップルで森に広がる霧と相まって、とても素敵な写真で気に入っている一枚です。
ではでは、今日ご紹介する作品は、こちらです!
このエナメルのペンダントは、19世紀を代表するジュエラー、Giuliano一族(ジュリアーノ)の、カルロ・ジョセフ・ジュリアーノとアーサー・アルフォンス・ジュリアーノによって作られたもの。モチーフである竪琴は芸術の神アポロンのアトリビュートでもあり、楽器の中でも華麗さが際立つ存在です。 動画はこちらからご覧頂けます。
このペンダントのデザインは、森の中でアポロン神がダフネーを思って鳴らす竪琴のようにロマンティックですが、このような甘美で特別なデザインはジュリアーノ作品の中では例外的でとても珍しいので、おそらく、上流階級の男性が恋人へ、もしくは意中の女性へ贈るために特別に頼んでデザインした作品ではないかと思います。 この作品を買い付けた時に、作品は箱に入っていたので箱を開けた瞬間の、なんて愛らしいの!という感動を味わうことが出来ましたが、贈られた女性もきっとそんな感動を味わったのかもしれませんね、アポロン神は神々の中でも際立った美男でしたが、なかなか思う女性へ気持ちが上手く伝わらなかったこともあり、竪琴という特別なデザインに、そんなもどかしい気持ちも込められているのかも?なんて、いろいろな想像をかき立てられる作品です。ではでは全体像をご覧下さい。
竪琴の形にそって草花が成長していくような、美しいエナメルがなめらかに施されています。
エナメル拡大、葉の細かな模様も表現されています。爽やかな白い花が全体を引き締めるアクセントになっていて、フランボワーズ色の可愛いらしいカボッション型のガーネットもセットされています。
ペンダントの上部のバチカンにも綺麗な葉のエナメルが施されています。
ゆらゆらと揺れる大きなカボッションのガーネットがセットされています。揺れた時には
とても愛らしい雰囲気に、、、。
花びらをモチーフにした赤と白のエナメル。
それほど厚みはない作品ですが、横から見た時の竪琴の線などがとても美しいです。
裏面。
カルロ・ジュリアーノの二人の息子、カルロ・ジョセフとアーサー・アルフォンスのサイン入り。
オリジナルではありませんが、この作品にぴったりのチェーンをつけました。
とても美しいクラスプです。
19世紀を代表するジュエラーの一人である、カルロ・ジュリアーノは、イタリア出身の金細工職人で、妻と息子とともに、イギリスへ移住し作品を作ります。特に得意としていた作風はルネサンス様式、または17世紀のフランスの作品に影響をうけた白黒のエナメルとダイヤモンドの組み合わせによる飽きのこない作品、そして、当時の考古学的発見に着想を得たアケオロジカルスタイル等に優れた作品が見られます。 カルロ・ジュリアーノの死後は、息子のカルロ・ジョセフとアーサー・アルフォンスの二人が事業を受け継ぎますが、カルロの創造性を受け継いだのはアーサーのみで、アーサーの死後はジュエラー、ジュリアーノの歴史は終わります。。。 他のジュリアーノ作品もあわせてご紹介致します。
この資料は、2006年のクリスティーズの作品、 上の素晴しい宝石の首飾りは今回ご紹介した竪琴のペンダントと同じくカルロ・ジョセフとアーサー・アルフォンスの作品です。表示価格は$75000〜$100000ですが、この価格はオークションの開始価格であることから、実際は表示価格よりもずっとずっと高額であること、そして今から約8年前のオークションですから、もちろん現在の価値はもっと上がっています。 アンティークは以前にくらべて良い作品がどんどん減ってきていますし、価格も上昇していますから、手の届く価格でサインドピースに出会えることは、いつかは美しいサインドピースを購入したい!という夢を持っていらっしゃる方にとっては、とても幸運な事なのです。サインドピースはこれからも入手しにくくなること、同時に価格が上昇し続けることは確実です。そして、オークションなどで価格がかなり高額になることが予想されるサインドピースを見つけることは簡単ですが、実際に購入して入手する夢を叶えることは不可能に近いのが現実です。 いかに、良い作品を価格が上がりきる前に手に入れられるか、これはとても大切なことなのです。そしてサインドピースが欲しくても、サインドピースの全てがデザインが良いとは限りません、驚くほど面白みのないデザインの作品もありますから、それほど美しくない作品をサインドピースであるというだけで、高額な金額で購入するのはあまりにもお金がもったいないですし、せっかくのサインドピースですから、是非ジュエラーの創造性が感じられる作品を選んで下さい。 サインドピースが欲しい!と思われている方は、サインドピースで、デザインが美しく、価格が適正であること、この条件を備えた作品と幸運にも出会えた場合には、少し大袈裟かもしれませんが、サインドピースを入手出来るラストチャンス!くらいに思って思い切られることをお勧め致します。 美しいアンティークを入手するには、焦らないこと、そして、心を揺さぶる作品と出会った時には、迷わないこと、これがとても大切です。 ジュリアーノ エナメル ペンダント 1895年〜1914年 カルロ・ジョセフ&アーサー・アルフォンス作 ダイヤモンド ガーネット エナメル 18k 6,9cm×3,3cm 11,1g 価格はお問い合わせ下さい。 仙波亜希子 アンティークギャラリーソレイユ http://www.antique-gallery-soleil.com/ お問い合わせ info@antique-gallery-soleil.com 携帯電話 080-3364-3978 仏電話番号 0033(0)9 53 53 51 47 skype アドレス antiquegallerysoleil メールマガジン Soleil Members お申し込みはこちら
大変希少で素晴しい19世紀の作品をご紹介致します。芸術家は感性を揺さぶるものに出会うと、それを昇華して新しい作品作りに励みますが、今回ご紹介するこのリングはまさしくそのような作品です。
アーティストの名前はLouis Wiese(ルイ・ヴィエーズ)、19世紀に素晴しい作品を残したフランスの偉大なジュエラーの一族です。このリングの様なスタイルはアーケオロジカルスタイルと呼ばれており、古代遺跡から発掘された金細工やジュエリーにインスピレーションを受けて作られた作品です。この指輪の素晴しいところは、金細工を本物の古代作品に質感まで出来るだけ似せて作らせてあるところと、セットされているカメオが本物の古代ローマの若いヘラクレスの素晴しいカメオであるというところです。本物の古代ローマのカメオをセットしてあるところに、古代作品への情熱、今までに見た事がなかったような古代の金細工に触れて、アーティストとして受けた影響が計り知れないものだったことを感じます。
ジャン・ピエトロ・カンパーナ侯爵
ヴィエーズがインスピレーションを受けた金細工は、ジャン・ピエトロ・カンパーナ侯爵のコレクションであった作品です。
ジャン・ピエトロ・カンパーナ侯爵は、1844年頃にエトルリア南部のカエレでの発掘を始め、彼のエトルリア芸術作品のコレクションは有名になりましたが、あまりの収集への情熱の為に、自身がディレクターでもあったイタリアのモンテ・ディ・ピエタ銀行の資金を収集資金として横領し、刑事強制労働20年と没収刑を受けてしまいます。。。
カンパーナ コレクション
ゴールドフィビュラ 紀元前630年 ルーブル美術館
その後、彼のコレクションは差し押さえられ、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館から、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館、ニューヨークのメトロポリタン美術館に至るまで、数々の国立美術館に収められ、1861年にはナポレオン3世に買い取られ、ルーブル美術館にも展示されます。
ヴィエーズが手がけたアーケオロジカルスタイルの他の作品がthe belle epoque of french jewelleryというにも掲載されていますので、情熱の結晶を見てみましょう。
ルイ・ヴィエーズ作 カボッションカットの宝石がセットされたブローチ、この作品には特に注目したいと思います。
この金の撚り線を良く見てみると、、
今回のリングと同じ撚り線の装飾が施されていることがわかります。
ヴィエーズは19世紀を代表する優れたジュエラーの一人として、素晴しい作品を多く残し、彼の死後も彼の作品は美しいものを愛する人たちを魅了しています。このアーケオロジカルスタイルのリングは手に持つとずっしりとした素晴しい重みがあり、金の質感はいかにも古の都から発掘されたかのような古代の趣があります、そして本物の古代ローマのカメオがセットされた珍しく、希少な芸術作品なのです。時を超えて残った古代ローマの本物のカメオと、19世紀の芸術家の出会いが一つの作品として昇華され、現代に生きる私たちが、その作品を手に取ることが出来ることを、とても幸せに思います。
古代ローマのカメオのモチーフはヘラクレス、紀元前1世紀〜紀元1世紀の作品です。このような大型の希少な古代ローマのカメオ自体が既に大変素晴しい芸術品ですから、そのカメオがヴィエーズ作のゴールドリングにセットされている、という大変贅沢な指輪でもあります。
べゼルのカメオのセッティングなど、リングは非常に丁寧な作りをしており、手に触れた時も大変心地よい優しい触り心地です。カメオは、半透明のアゲートです。
シャンクには古代風の装飾が施され、フープ部分もずっしりとした重みが感じられる作りです。
裏面はオープンセッティングです。裏からカメオに光を通して幻想的な美を楽しむ事ができます。
WIESEの刻印。
19世紀のアーティストであるヴィエーズと、本物の古代ローマのカメオ、天から授けられた才能と時を超えた美が出会って生まれた大変希少で素晴しい作品です。
ルイ・ヴィエーズ 古代ローマカメオ アーケオロジカルスタイル リング
フランス 1890年
ハイキャラットゴールド アゲートカメオ 古代ローマ 紀元前1世紀〜紀元1世紀
サイズ 2,4cm 21,8g 12号〜13号
価格はお問い合わせ下さい。
仙波亜希子 Akiko semba
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携帯電話 080-3364-3978
仏電話番号 0033(0)9 53 53 51 47
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「The Guardian Angel 」Pietro da Cortona 1656
キリスト教徒達は、人には生まれながらにして守護天使と呼ばれる存在が寄り添い、守護天使によって生涯にわたって見守られると考えていました。
守護聖人 ジャンヌ・ダルク
人々は守護天使に見守られますが、神に祈りを捧げる時に、ただの人間である自分が直に神と話すのは余りにも恐れ多いことだと考え、神への祈りを直接伝えるのではなく、まず、守護聖人へ託しました。守護聖人とは、特に神への信仰が厚かった人物のことです。守護天使は一対一でその人だけを見守りましたが、守護聖人は多くの人々を同時に支えていました。
古では、キリスト教徒達は、子供に名前をつける時に、自分の子供に加護を与えて欲しい守護聖人と同じ名前を子供に与えました。このことは、西洋の絵画にもよく現れています、例えば、、、
「The Moulins Triptych」1498 Jean Hey
左側 ひざまずいて手を合わせるブルボン公爵ピエール2世の上に描かれているのは、聖ピエール(聖ピーター)
右側 ひざまずいて手を合わせるピエール2世の妻、アンヌ・ド・ボージューの上に書かれているのは、聖アン(聖アンナ)
ピエール2世とアンヌ妃は、それぞれの守護聖人を通して、聖母マリアと幼子イエスへ祈りを捧げています。
この手をあわせて祈る女性の名前はおそらくマドレーヌだと思います、
それは彼女の守護聖人が香油の壷を持った聖マドレーヌだからです。
このように、聖人は、その聖人が誰であるかを示す印であるアトリビュートとともに表現されることがあり、例えば、アレクサンドリアの聖カタリナのアートリビュートは車輪、聖アポロニアのアトリビュートは歯を抜くためのハサミです。
アレクサンドリアの聖カタリナ 〜足下の壊れた車輪〜
Fernando Yáñez DE LA ALMEDINA Santa Catarina de Alexandria (1505 – 1510)
聖アポロニア 〜右手に持つ歯を抜くハサミ〜
Zurbarán, Francisco de (1598 – 1664) – St. Apolonia
歯を抜くハサミなど、面白いものがアトリビュートになっています。アトリビュートは、生前に聖人が何をしたか、聖人の身に何が起こったかを示しています。これらは調べるととても面白いです。
そして、今回ご紹介するのは、17世紀の大変に希少なエナメル作品、このペンダントは、キリスト教徒にとって大切な存在であった守護聖人のエナメルペンダントで力強い暖かさを感じます。これは美術館に所蔵されているべきジュエリーの一つです。本体はギルトではなく金で出来ており、素晴しい重さ、青と赤のエナメルは鮮やかで美しく、大変素晴しい出来映え、スペインかフランスのどちらかで制作された作品です。当時のフランス王、ルイ13世はスペインのアンヌ・ドートリッシュと結婚し、また、ルイ14世もスペインのマリー・テレーズ・ドートリッシュと結婚していたので、スペインとフランスは、両国間の影響で作風が良く似ているのです。
これらは、17世紀の同時代の守護聖人の同タイプのペンダントと19世紀に古いスタイルで作られたペンダントです。
左 19世紀 フランス? 19世紀に17世紀のスタイルで作られた 聖 ドミンゴ フェレール
中 17世紀 スペイン 幼子 イエス
右 17世紀 スペイン パドヴァの聖アントニオ
参考図書 el arte de la joyeria en la colección lázaro galdiano p40, p41
この守護聖人が一体誰なのか?ですが、特徴として、顔立ちが若いことから、若い聖人ではないかということ、そして黒い大きな十字架を持っていることです。この大きな十字架はこの聖人が磔にされても信仰を貫いた事を示しています。
リヨンの聖アレクサンドル
この聖人が誰なのか、いろいろ調べてみましたが、聖人は沢山いるので、残念ながら確かなことはわかりませんでした。一人、候補としてリヨンの聖アレクサンドルがいるので、説明をしますね。
エピポディウスと彼の友人アレクサンドルはキリスト教の聖人としてあがめられています。エピポディウスはライアンの生まれ、一方のアレクサンドルはフリギアの生まれであったと言われており、職業は医者でした。二人はどちらもマルクス・アウレリウスの治世に殉教しています。
エピポディウスとアレクサンドルは幼いころからの親しい友人であったと言われています。エピポディウスは固く独身を貫いたと言われており、キリスト教の仕事に身を捧げました。二人はどちらも投獄・拷問の後に、野生動物のいる闘技場に放り込まれ、うめき声など一言も出すことなく、ただ心の中で神と談話を交わしながら死んだ、又は磔によって死んだと言われています。
6世紀に、彼らの遺骸は聖イレナエウスの遺骸と共に、ライアンにある聖ジャン大聖堂の祭壇の下に安置され、この墓地では、奇跡が報告されています。
では、全体像をご覧下さい。
17世紀当時に、このエナメルペンダントは持ち主を強く勇気つけて守っていたのだと思います。作品からは生き生きとした生命力、力強さ、暖かいオーラを感じます。
エナメルのダメージは、希少価値から考えて全く問題の無い範囲のダメージです。そして、ダメージは、この作品が実際に使われて、愛された証でもあるのです。
古いエナメルでパーフェクトコンディションの場合は、リペアされている可能性の方が高いです。
底の4隅には天使の装飾が施されています、そして、このペールブルーのエナメルは典型的な17世紀のエナメルカラーです。
17世紀から数百年にわたって存在する守護聖人のエナメルペンダントは、希少で美しい、素晴しいお守りなのです。
守護聖人 リヨンの聖アレクサンドル(?)のエナメルペンダント
17世紀 スペインorフランス
エナメル ハイキャラットゴールド
5,4cm×2cm 22,3g
☆☆この作品はご売約済みです☆☆
本当に大切なものは目に見えない、、、説得力のある言葉で、そうか〜!と思わせてしまうパワーがあります。そして、目に見えない大切なものの代表は 愛 です!
今回ご紹介する中世の指輪はそれをダイレクトに感じることが出来る素敵な指輪です。この写真をちょっと見てみて下さい、、、外にはいっさい装飾がなく、内側に文字が彫られていますね、この指輪は表に装飾がないので、指にはめると全く普通の金の指輪に見えるのですが、実は内側には愛の言葉が刻まれていて、これが当時の結婚指輪であることがわかるのです、、、目に見えない部分に愛の言葉が刻まれた指輪、とても素敵な指輪だと思いませんか、、?
さらに、この指輪の秘密は内側に文字が刻まれているだけではありません、この指輪をクルクル回すと、、、
月の形にカットされたルビーがはめ込まれていました!
中世当時、この月の形の装飾にどんな意味があったのかはわかりません。ですが、以前、このような月型のべゼルにガーネットが留められた中世の指輪を見た事がありました、その指輪と今回の指輪の「月型にセットされた赤い石」という共通点に、同時代のデザインというものは細かな部分でつながりがあることを再確認しました。いったいどのような意味があって使われたでデザインだったのでしょうね、こういったことを想像するのも古のリングの楽しさです。
そして、この指輪にはめられている石は一つではなく、、、
もう一つ、ハートシェイプの石もはめられていました!この石は写真では見にくいのですが、なんとダイヤモンドです!中世において宝石の希少性は非常に高かった為に、このような小さな石を用意すること自体がとても大変なことでした。希少なダイヤモンドで愛を示す為に内側にセットされたのでしょう。
そして、このハートシェイプ、実は最初から人々の愛情を示す為に使われたマークではありませんでした、、、
メダイ イエス・キリスト
このハートシェイプの起源は遥か中世にまでさかのぼり、イエス・キリストが自らの心臓を人々への愛として見せることから始まり、、
ルーブル美術館蔵 タペストリー 1400年頃
徐々にハートモチーフはキリストの愛を表す他にも、人々それぞれの個人的な愛を示す目的でも使われ始めたのです。
13世紀の素晴らしい指輪 ヴィクトリア&アルバート美術館
この指輪のメインストーンもハートシェイプなのがわかりますね、13世紀と古い指輪なので何用の指輪なのか定かではありませんが、今回ご紹介した指輪のように後の時代にハートモチーフが婚約や結婚用のジュエリーとして使われ始める事を考えると、おそらくこれも初期の結婚指輪、婚約指輪だと思われます。
この指輪は、希少な中世のリングの中でも、とっっっても希少性の高い作品なのです。まず、内側に文字が彫られている指輪は希少です、普通は外側に文字が彫られているからです。
ですが、一番の希少性は、内側に宝石がはめ込まれてること、これに尽きます!!このような作品は今後、まず見つける事はできないでしょう。
外から見ると全く普通の金の指輪、しかし内側には愛の言葉が刻まれ、当時は大変希少だった2つの宝石が留められた指輪、、、2つの宝石の組み合わせにはどんな意味があったのか、、、、希少な宝石を大切な結婚指輪の目に見えないところに留めてあるということから、石自体に宿っていた力を大切に考えていたのでしょうね。
では、全体像をご覧下さい。
素晴しい佇まいの指輪は、まさに中世の指輪です。手に取れば中世へ想いを馳せることができるでしょう、、。
夢に溢れた指輪にちなんで、中世の不思議な話をしましょう。この指輪の写真を見てピン!と来た方もいらっしゃると思いますが、この指輪は 映画『ロードオブザリング』 に出てくる重要な指輪です。今回ご紹介した指輪と雰囲気が似ています。ちなみに、よくアンティークの保管方法や扱い方についてご相談を頂きますが、『ロードオブザリング』に出てくる指輪ほど、扱いが大変な指輪はありません、この指輪を持っているとストーカーに狙われたり、指輪を一定時間以上身につけることが難しいなど苦労が絶えないようです。興味のある方で『ロードオブザリング』をまだご覧になったことがない方は素晴しい物語ですから、是非ご覧下さいね。
『ロードオブザリング』はJ・R・R・トールキン作の『指輪物語』が原作で、指輪のデザインも原作に忠実に再現しています。重要な指輪として選ばれたものが、中世の作品に似たデザインだったことに、いろいろな想像が膨らみます。。
中世にちなんで、もう一つ不思議な話があります。
この物語に出てくる長身で美しい不老のエルフたちは、神秘的な存在として描かれています。
このエルフ達は原作者のトールキンが生み出した架空の人種ですが、実は西洋の古の家系図の中に『エルフ』と名の付く家系があったのです。そこでは、光のエルフ、白いエルフ、黒いエルフとして分けられ、実在していることが確認できるのです、、、、彼らの名前の一部にはエルフという言葉があり、エルフの名を持つ姫が隣国の王と結婚していることもまでも分かります、、、、具体的にどのような人種であったかはわかりませんが、エルフという人種が存在していたことを知った時の衝撃は今も忘れられません。
こうして、膨大な家系図がコンピューターで管理され、さかのぼって過去を知る事が出来るのは、貴族文化の歴史の深い西洋ならではのデータベースが可能にするのです。
最新のコンピューターの前で、古い貴族の家系図を眺めていると、現実と伝説の境目が曖昧になることがあり、本当に不思議な気持ちになります。
中世の結婚指輪 ルビーの月とダイヤの愛
ハイキャラットゴールド ルビー ダイヤ
フランス 15世紀
0,5cm 12号 7,2g
価格はお問い合わせ下さい(ご予約済)
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