18世紀のセンチメンタルジュエリー

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現代に生きる私達に夢を見させてくれる古い指輪は、それを手に入れて身に着けている人には趣味や独創性のしるしとして、また、それを鑑賞する人には幻想や審美の対象として大切にされています。当時の指輪は強い拘束力のある感情的な関係の恒久的なシンボルとして考えられ作られていたのです。

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〜フランスのジュエラー〜 WIESE ヴィエズ

WIESE

フランスには著名なジュエラーが多くいますが、その中の一人、ヴィエズ(WIESE)について記しておきたいと思います。

ヴィエズは 19 世紀の終わりにかけてアーケオロジカルスタイルを主張した主要人物の一 人で、金をふんだんに用いて彫刻した素晴らしい作品を複数製作しています。

ネオゴシック及びネオルネサンスのスタイルを用いたファッションは、著名な 宝 石 職 人 で あ る フ ラ ン ソ ワ ・ デ ジ レ ・ フ ロ マ ン ・ ム ー リ ス(François-Désiré Froment-Meurice・1802-1855 )がフランスで始めました。1839 年、ジュール・ヴィエズ (Jules Wièse) はフロマン ・ ム ー リスの工房の管理者になります。ヴィエズはフロマ ン・ムーリスの死後、自身の会社を設立し、ロ マン的歴史主義にも影響を受け、ジュエリ ーを制作します。 1862 年に開催されたロンドン万国博覧会では、ネオゴシック (13世紀 から 15 世紀) およびネオルネッサン ス (16 世紀) のスタイルで彫刻した多数のジュエリーを展示し、 1867 年には、パ リの万国博覧会でカンパーナの古代ギリシャや古代エトルリアの宝石の コレクションを 見 たり、その他の宝石 職 人 ユ ー ジ ー ン ・フォントネー(Eugène Fontenay) などから影響を受け、そしてアーケオロジカルスタイルを 試し始めます。1880 年以降は、ルイ・ウィーゼ (Louis Wièse) が会社の経営を引き継 いでいます。

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石とガラスの緻密な絵画、モザイク

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アンティークの技法の一つにイタリアで生まれたマイクロモザイクと呼ばれるものがあります。テッサラと呼ばれるガラスで出来た一ミリに満たない極小のパーツを無数に隙間無くはめ込んで、絵画のように仕立てる驚異の技法です。大きな作品にはもちろん、小さなアンティークジュエリーにも使われています。優れたマイクロモザイク作品は目を疑うような細かさの物ばかりです。

初期のモザイクはより大きな石やガラス片で作られていましたが、複雑なマイクロモザイクの微小のピース(1ミリ以下)は切るとテッセラになるガラスの薄く細長い一片や「スマルティ・フィラーティ」と呼ばれるガラスの糸を作ることにより得られます。

現存する古代ローマのモザイクには、特にポンペイから来た非常に小さなテッセラを用いた、極めて精巧に作られた詩情溢れる作品があります。

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フランスの伝統的なジュエリー 〜オーベルニュのサンテスプリ〜

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ギャラリーで扱っている鮮やかで深いざくろ色のガーネットが綺麗な19世紀前半のオーヴェルニュのサンテスプリ。こちらはオーヴェルニュの都市のル・ピュイ・アン・ヴレイの物、サンテスプリは様式化した鳩の形態をしていて、カトリック教のシンボルである聖霊のことです。深い意味も込められていますが、ジュエリーとしても素敵なデザインです。

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フランスの伝統的なジュエリー 〜プロヴァンスの十字架〜

1Traditional provencal costume, late 18th century

プロヴァンスは18世紀から19世紀初頭のフランスにおいて名高く豊かな地方でした。その富はオリーブオイルやワインの生産という地中海での貿易から得ており、プロヴァンスの中でも最も豊かな街はマルセイユ、アルルそしてエクスでした。そして、18世紀より、富裕層はとても価値の高いジュエリーを使うようになりました。これら宝石のデザインはフランスから来たものですが、イタリアやスペインから来たものもあります。ほとんどが古風な形やデザインです。ゴールド、シルバー、ダイヤモンド(ローズカットダイヤモンド)が使われ、エナメルも使われています(例としてマルタ十字架に使われています。)

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