アンティークレッスン オパール
- 2013年12月07日
- アンティークレッスン
オパール
オパールは最も魅力的な石の1つです。貴蛋白石のブラック・オパールが持つ虹色の美しさは、オスカー・ワイルドの作品『ドリアン・グレイの肖像』(1980年) の中で「砕けた虹のような乳白色のオパール」と表現されています。『オパール』の語源はサンスクリット語の「upala」で、「宝石」という意味です。
アールヌーボー作品、ラリック&フーケ
I –種類
オパールの種類は、地色と遊色効果 (ファイヤー) のタイプで区別できます。
♦ 「ハーレクイン・オパール」は「ノーブル・オパール」 とも呼ばれ、半透明の乳白色の白地にカラフルな輝きがあります。
♦ 「ブラック・オパール」は、緑または暗青紫の地色に多彩な輝きを持っています。暗い色の地は炭素と酸化鉄によるものです。
22個のダイアモンドをあしらった18金の台にセットされた、27.63カラットのブラック・オパールのリング。
推計7〜8万ドル。(ボナムス、2010年9月)
♦ 「ファイヤー・オパール」は、赤地に橙赤色の輝きを持っています。ジョゼフィーズ・ド・ボアルネ: Joséphine de Beauharnais (ナポレオン1世の最初の妻) は、『トロイの炎上 (Fire of Troy)』と呼ばれる見事なファイヤー・オパールを所有していました。
♦ 「クリスタル・オパール」は、透明または不透明で、多彩ではっきりとした色合いです。ブラック・クリスタル・オパールは、暗い色の地の透明なオパールです(台は黒くありません) 。
♦ 「コモン・オパール」は、ほとんど輝きのない乳白色です。
♦ 「オパール・マトリックス」は、オパールが形成された石の断片と結合したものです。
II –歴史と出所
1- 東ヨーロッパ
ローマ帝国時代にスロバキアで発見され、産出地はDubnika (スロバキア) の近くで19世紀まで唯一の産出地でした。この鉱山は1920年まで操業され、オーストラリアでオパールが発見されるまでは、ここが主要発掘場所だったのです。ここで発掘された「ノーブル・オパール」は「ハンガリー・オパール」と名付けられましたがこの生産が重要視されたことは一度もありませんでした。ここで見つかるオパールは、乳白色の地に色のついた小さな点 (ピンファイヤー) が入ったものがほとんどで、時々、マトリックスが見つかり、王族の宝石に使われたものもありました。この鉱山は長年閉鎖され、時々数個が売りに出されるだけです。ここで見つかるオパールの質と美しさはオーストラリアのオパールに比べかなり低いものでした。
2- メキシコ
ケレタロ州がオパールの主要産地です (ファイヤーとハーレクイン)。産出オパールの大部分は「ファイヤー・オパール」です。このファイヤー・オパールはアステカ族 (1325〜1521年) が利用していました。シカゴ自然史博物館には、世界で最も有名なオパールの1つ『太陽神 (Sun God)』が所蔵されています。これは、16世紀のメキシコの寺にあったもので、コロンブス文明前にこの宝石がいかに重要であったかを示しています。征服後、メキシコのオパール鉱脈は世間から忘れ去られました。ケレタロの鉱山は1855年に再発見されます。
3- オーストラリア
1875年、クイーンズランド・オパールが発見されました。1889年に、ロンドンのハットン (Hatton) の宝石商だった Hasluck兄弟が、この新種のオパールにチャンスを与えました。その後、オーストラリアのニューサウスウェールズ州ホワイト・クリフス (White Cliffs) でハーレクイン・オパールが発見されました。そして、ロンドンでオパールの販売が成功を収め、美しいハーレクイン・オパールで有名なホワイト・クリフス鉱山の生産が可能になりました。
1902年、ライトニング・リッジ (Lightning Ridge) で水脈を見つけるために井戸を掘っていた際に、最初のブラック・ストーンが見つかり、1903年にライトニング・リッジで最初のオパール・ラッシュが起こりました。2度目のラッシュは1909年に起こり、1400名の鉱山労働者が関わりました。
ライトニング・リッジは人気の高いブラック・オパールの世界唯一の産出地です。5〜7mの深さにある約1m幅の粘土層の中に見つかります。
1938年にオーストラリアのサウスニューウェールズ州ライトニング・リッジで、世界最高値のブラック・オパールである「オーロラ・オーストラリア」が見つかりました。このオパールは 180 カラットで、黒地に赤、緑、青のハーレクイーン・パターンがあります。
III –加工と偽物
1- 染色
ブラック・オパールを生産するために、とりわけ1920年以降は、オニキスの染色と同様の加工手法が使われました (砂糖水に漬けた後、酸をかけ、オパールの色を暗くする)
オパールにはポリエステルが添加されることもあります。
2 –人工オパール
1974年に、ギルソン (Gilson) が本物に非常に近いハーレクインとブラック人工オパール (すなわち、青、緑、赤色) を流通させました。
この人工オパールは、日本 (京セラ、イナモリ) やロシアでも作られています。プラスチックと合成されるものもあります。1980年以降、日本のある会社が、コンパクトポリマーで適切な直径のスチレン粒子で構成された非常に優れた模造品を生産しています。
3 –ダブレットとトリプレット
- ダブレット : 低質のオパール・マトリックスや暗い色の玉髄(ぎょくずい) の黒い接着台の上に 真っ平らなカボション・カットのノーブル・オパールが 張られています。
- トリプレット : 黒い台 (マトリックス・オパールか暗色の玉髄) の上に平らなノーブル・オパールが張られ、その上にレンズとして、カボション・ロック・クリスタルか人工スピネルが乗せられています。
- 合成物 : ガラスやプラスチック上に小さな天然または人工のオパールが埋め込まれています。
IV – まとめ
1920年以前のアンティーク・ジュエリーにあしらわれた素敵なオパールを見つけた場合、通常、オパールには何の加工も施されていません。しかし、オパールは常にオリジナルなものとは限らないので注意が必要です。アンティーク・ジュエリーにモダンなオパールを据え付けるディーラーもいます。1910〜1930年物のジュエリーに据え付けられたモダンなダブレットや人工オパールを目にしたことがありますが、この場合は台のみが古い本物でした。 非常に素晴らしいオパール石を見つけたら、石がオリジナルであることを確認するため、台の縁を注意深く観察し、疑わしい場合は、その宝石が高価なものである場合はディーラーに宝石鑑定書の発行を頼む事をお薦めします。
仙波亜希子 Akiko semba
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