アンティークの貴重な宝石について考える 〜サファイヤ ルビー エメラルド〜


アンティークの貴重な宝石について考える 〜サファイヤ ルビー エメラルド〜

宝石を理解する事はアンティークジュエリーを理解する上で最も重要なポイントの一つになります。

実際に宝石を学ぶ事はジュエリーの真贋と制作年代と制作国を知る手がかりにもなるのです。

いくつかの点を考えてみましょう。

石の産地について

まず、炭坑が発見される前にその炭坑から産出される特定の石が使われる事は勿論ありません。

例えば、ロシアのエメラルドは1830年に発見されました。ですから、1830年以前にロシアのエメラルドがジュエリーに使わる事はありません。そしてブラジル産のエメラルドは1913年に発見されましたから、1913年以前には使われていません。

ですから、1913年以前の作品にブラジル産のエメラルドがジュエリーに使われていた場合、それは、古いジュエリーの本体にブラジル産のエメラルドを後で付けたか、フェイクアンティークジュエリーか、その石がブラジル産のエメラルドではない事になります。

そしてまた、石の産地はジュエリーの制作国も教えてくれます。

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18世紀 トパーズブローチ ギャラリーにて販売済

例えば18世紀のこのジュエリーについて考えてみましょう。
このブラジル産のカリブレカットのトパーズがセットされたシルバーのジュエリーは典型的なポルトガルの作品です、何故なら、ポルトガルはブラジルの炭坑をコントロールしていた為にブラジル産のトパーズを入手出来たからです。しかしポルトガルは金をそれほど持ってはいませんでしたから、シルバーの台にセットされているのです。

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18世紀 エメラルド ペンダント ギャラリーにて販売済

そして同年代の同スタイルのジュエリーでゴールドにエメラルドがセットされているものがありますが、こちらはポルトガルではなくスペインの可能性があります。このように時代の特徴と呼応した形でジュエリーの産地が分かります。

しかし気をつけて欲しい事があります。石の産地を知る事は極めて難しいのです、例えば一目で他の石とは明らかに違う特徴を備えた石、モゴックルビー、ミュゾのエメラルド、クイーンスランドのオパール、カシミールサファイヤは経験により肉眼で判別できます。

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Gübelin 宝石鑑定書

しかし他の石はスイスのGübelinのような顕微鏡を用いた宝石研究所によるインクルージョンと石の構成の確認によって産地の特定の可能になるのです(石によって言い切る事が難しい場合もあります)。肉眼での識別では、おそらくこの石だろう、という予想を立てる事は出来ますが、確実な判別は不可能です。

ですから、宝石をメインとした高価なジュエリーを購入される時、その品物に石について鑑定書が無い場合は、その石が何処の産地のどれくらいの品質の石かを肉眼で確実に知る事は不可能ですから、売り手が宝石学を学んでいるかどうかも確認した方が良いでしょう。

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17世紀サファイヤリング 販売済

石を鑑定をする場合に石を台座から外す必要があります。爪留めの場合は石を外して、石をセットし直す事が可能ですが、この写真のように覆輪留めのような回りから包み混むセッティングの場合に石を外すと必ず跡が残って本体にダメージを与えますから、アンティークの覆輪留めジュエリーの場合は石の鑑定を行うかどうかは慎重にならないといけません。また、ここで面白い真贋の鑑定方法があり知っておいて損はないですから記します。覆輪留めでフェイクジュエリーが確定する理由の一つは、覆輪留めで石を外した跡がなく、そして年代にそぐわない宝石が留められていた場合です。

 

石のカッティング

 

石の切り方はその時代時代に特徴がでます。例えば、カリブレカットは18世紀中期からポルトガル、スペイン、イギリスに始まりました。ダイヤモンドに至ってはカッティングに華麗な歴史があります。

しかし石のカットにも気をつけて下さい、石のカットが古いからといってそれは古い年代の作品だという事にはならないのです。

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ローズカットダイヤモンドを使った フェイクアンティークジュエリー

分かりやすい例でいうとダイヤモンドのカットが上げられます。時代によってカッティングが違うダイヤモンドですが、今日ではインドで品質の悪いダイヤモンドが古いスタイルでカットされ(多くはローズカットダイヤモンド)、フェイクアンティークジュエリーとして市場に出回っている例が多くあります。それらはローズカットダイヤモンドだからという事だけでアンティークジュエリーと認識されてしまうのです、このようなフェイクアンティークジュエリーを見極める事は、きちんとした知識と経験がないと不可能ですし、売り手がフェイクアンティークジュエリーと知ってて販売している場合もあるので、気をつけて下さい。

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タルト型 中世のサファイヤリング

他の例でいうと、例えば変形のカボッションカット(サファイヤ、ガーネット、ロッククリスタル)は典型的な中世の宝石のカッティングです、しかし変形のカボッションカットがセットされているだけではその作品が中世の作品とは言い切れないのです。

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ルネサンス カボッションルビー付き リング ギャラリーにて販売済

中世のスタイルのリングもフェイクが沢山出回っていますが、 フェイクアンティークジュエラーは中世のリングのフェイクを作る時に、本物の中世のリングを真似ます、ですから当然変形のカボッションカットを用意します、そして中世のスタイルの指輪に変形のカボッションサファイヤをセットするのです、ですから変形のカボッションがセットされているだけでは中世の作品とは言い切れません。又はもしくは本物の中世のリングで石が失われている物に変形のカボッションのサファイヤをセットする事もあります、この場合は顕微鏡でセッティングを確かめる必要があります。

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そしてもう一つ、中世のリングといわれている作品にタイ産のサファイヤがセットされていた場合には、フェイクアンティークジュエリー確定です、中世のリングにタイ産のサファイヤがセットされている事はあり得ないからです、もしくは本物の中世のリングに留められていたサファイヤが後にタイ産の物に付け替えられたかでしょう。そして古いジュエリーのオリジナルのセッティングについての見極めは顕微鏡による石のセッティングについて、学ぶ必要があります、そうすることで、その石がオリジナルの石か付け替えられているかが分かるようになるのです。

石のトリートメント

地球から産出される美しい宝石達が華麗なジュエリーとして姿を現すまでには人間の手によるトリートメントが不可欠で、そのままのナチュラルな姿で私達の目の前に姿を現す事はありません。

トリートメントされていない石がジュエリーとしてセットされるのは意図されたモダンアートのようなデザインの場合のみです

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例えば、切り出されたままのコランダム(ルビー、サファイヤ)等はごくごく原始的な姿をしています。このような石を美しいジュエリーにするには2種類のトリートメントがあります。この2種類のトリートメントの違いについて理解することは大切な事です。

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1 日常的に行われるトリートメント

加熱によるトリートメントは日常、普通に行われる加工です。話がだいぶ遡りますが、一番歴史の古い熱加工は石器時代です、サファイヤはインドでおそらく約2千年前から熱加工されています、何故なら、石を加熱する事により石を切り出しやすくするからです、同時に石の色も美しくします。的確な石の切り出しと、適度な温度による熱加工が行われる事は普通に行われているトリートメントで、天然に産出する美しい色の宝石も実は生成の過程で熱や圧力の作用にて美しく着色したものです、したがって天然の結晶はそのままのものは美しくないものが大半です。これらはアンティークジュエリーにも用いられているトリートメントです。熱加工無しで色の美しい高品質の石は極めて稀で、非常に高価になります。

2 石そのものの質を変えてしまうトリートメント

1600度の高熱を用いた加工、石をガラスによって補填する加工、石を染める加工、色づけされたレジンにエメラルドを補填する加工、放射線によるダイヤモンドへの色づけ、これらの近代に始められた方法によるトリートメントは石の価値を著しく下げます。これらの近代のトリートメントがアンティークジュエリーに使われる事ありません。もしくはアンティークジュエリーにセットされていたオリジナルの石を外して付け替えていたり、フェイクアンティークジュエリーである場合にはあり得ます。主に、サファイヤ、ルビー、エメラルドのトリートメントについて詳しく説明しようと思います、ダイヤモンドと天然真珠については後でまた詳しくお話します。

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サファイヤ

ナチュラルサファイヤは加工が難しい石です。何故ならナチュラルサファイヤの色は均一ではなく、同じ石の中でもほぼ無色の部分や、沢山のインクルージョンが含まれた部分があるからです、無色のサファイヤのすぐ隣には美しい色をした部分もあるでしょう。その為に、サファイヤのカットには多くの経験が必要とされます。石のカッターはサファイヤをよく観察し、なるべく自然のままで美しく色の均一なパートをできるだけ切り出さなければいけません。ですから、サファイヤにいわゆる完璧なカッティングはありません。

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多くのナチュラルサファイヤは、極めて薄い色で多くのインクルージョンを含みます。その為、1300度の温度での熱加工により、ナチュラルサファイヤはより美しく整えられるのです。この加工なしにサファイヤがジュエリーとして用いられることは極めて稀です。この加工はアンティークジュエリーにも含まれます。

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 セイロン産サファイヤ 5.20ct LFG鑑定 非加熱

ごくごく稀なサファイヤのみが自然の美しい色を持っています、熱加工はジュエリーにおいて必要なトリートメントなのです。ここでも気をつけて頂きたいのは、ナチュラルストーンだから価値がある、ということではないのです。ナチュラルストーンであるという事だけで価値があるように思われがちですが、美しく無いナチュラルストーンでは意味がありません。

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素晴らしいセイロンサファイヤのアールデコリング、セイロンサファイヤの証の蝶の羽と呼ばれるインクルージョンが白丸の中に確認出来ます

もし、あなたが目の覚めるような美しい色の非加熱のサファイヤを使ったジュエリーの購入を考えているのなら、宝石の鑑定をする事をお薦めします。

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サファイヤリング ギャラリーにて販売済

石そのものを変えてしまうトリートメント、1600度以上の熱加工によるサファイヤ、ベリリウムの拡散加熱処理、これらは自然にはない色や濃い色を石に与える事ができます。例えば、多くのオレンジサファイヤはトリートメントされています、これらの近代のトリートメントに価値はなく、アンティークジュエリーにこれらのトリートメントを見つける事は出来ないでしょう。本来は全てのアンティークジュエリーにはフェイク、石が付け替えられている場合を除いてナチュラルなサファイヤがセットされています、中でも大きさがあり飛び抜けて美しいサファイヤがセットされたジュエリーの価格は今後上昇するでしょう。

ルビー

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ルビー アールデコリング 販売済

多くのナチュラルルビーはピンクか不透明です、ナチュラルルビーで赤い色で透明感がある石は極めて稀で極めて高価です、そして宝石研究所の鑑定書のみが確かな石の価値を保証します。

1300度の熱による熱加工は通常に行われる加工です。この温度での加工で多くのインクルージョンは消え色は美しくなる為、熱加工はルビーには不可欠で、非加熱で色の美しいものは極めて稀で殆どありません。

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アールデコ ルビーリング 鑑定書付き 詳細はお問い合わせください。

この石は熱加工する必要が無いほどに美しい貴重な天然の美しいルビーです、今後価格が上昇するでしょう。非加熱である事を証明する鑑定書がついています、このように最高品質の宝石を購入されたい場合は鑑定書が不可欠です、もしくは宝石学を学んでいるディーラーから購入するべきでしょう

反対に現代の石に私達は1600度の高熱によるトリートントを見つける事ができるでしょう、品質の低いルビーを人工的に美しく見せるテクニックはより進化しています。

進化したテクニックの中でより一般的なのは石をガラスで充填することです。この方法でルビーは高温で熱加工され、ガラスにより充填されます。熱加工により、その充填部分は肉眼で見えなくなります。

そして、トリートメントされたルビーは価値が低くなります。

また、アンティークジュエリーで1600度の高熱により加工されたルビーが使われたジュエリーを見つける事は不可能です。もし、高熱加工の石がついた石がアンティークジュエリーと言われている場合はフェイクアンティークジュエリーであるか、アンティークのリングに石を付け替えたかです。

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エメラルドのカメオジュエリー ギャラリーにて販売済

エメラルド

コロンビアは疑いもなくエメラルドの国、コロンビアはエメラルドをよりポピュラーな存在にしました。エメラルドの最高級品は

非常に深い濃い緑にやや青が加えられたような特別な色をしています。

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おそらくコロンビア産エメラルド 3.87ct LFG鑑定(フランス宝石研究所)
僅かにオイルトリートメントされています

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No169のリングのカタログ掲載、コロンビア産エメラルドで有ることが記されています。

そして、エメラルドの産地の断定は宝石鑑定所のみが行う事ができます。顕微鏡で確認出来る、ごくごく僅かなインクルージョンが産地を教えてくれるのです(石によって産地を特定することが難しい場合もあります)インカ帝国では既にエメラルドが使われていましたが、文明が失われると同時に忘れ去られ、1600年以降にスペインにより再び発見されます。炭坑はアンデスの西、ミュゾ、ボゴタ、チボール等にあります。

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エメラルドのインタリオリング ギャラリーにて販売済

今日では、コロンビア産のエメラルドは品質が低下しています。産出量に対して約25%のみがジュエリーとして使用されています。75%を売る為にコロンビア産というブランドを使っています。カシミールサファイヤのように、コロンビア産のエメラルドは市場から姿を消しています。ですから、貴方がアンティークジュエリーの中でハイクオリティのコロンビア産エメラルドを見つけた場合には、その石は将来に高価になります、本当に最高品質のコロンビア産のナチュラルエメラルドの価格は1キャラット数千ドルにもなり、今後も価格が上昇することは間違いありません。

他のエメラルドの産地では、1830年にウラル山脈の西でエメラルドが発見されました。当時は大量のエメラルドが発見されましたが、それらは並みのクオリティでした、それほど濃くはない薄い色で、インクルージョンも多く見られる品質でした、ごく稀なケースで非常に美しい深い色のエメラルドがウラルで発見されています。

また、ブラジルは世界で最も大きなエメラルドの発掘です。最初のエメラルドは1913年にブラジルの西方、バイアにて発見されました。他の鉱山はミナスジェイラスにあります。

エメラルドのオイルトリートメント

エメラルドは本来インクルージョンのある石です、それらのインクルージョンはエメラルドの庭と呼ばれ、石の内側に白い霜としてあらわれます、この霜は高品質のエメラルドを含めて全てのエメラルドに見られます。しかしながら、このインクルージョンをより目立たなくするには、高品質のオイルの中に石を入れてインクルージョンを見えにくくする方法が用いられています。

オイルトリートメントはサファイヤの熱加工にように石の美しさを引き上げ、通常普通に行われている加工です。そしてエメラルドの価格には影響はありません。

しかし、エメラルドを色づけされたレジンにつける事は、石自体を変えてしまいます。石を色づけされたレジンにつけ込む事は、色を濃くします。

エメラルドの色は価格を決定する上でもっとも重要なポイントとなります。高価なエメラルドを購入する場合は気をつけてください。

結果

ここで大切な事はアンティークジュエリーだからといって、全ての石が非加熱ということではありません。すでに約2千年前には熱加工が行われていました、9割の石は熱加工がされているでしょう。しかし、中には熱加工をする必要がない程に美しい目の覚めるような色をしていて、インクルージョンの有無も問題の無い石があります、これらの最高の石のみが貴重で高価な宝石なのです。アンティークジュエリーであれば非加熱ということではありませんから、もしあなたが価値のある素晴らしい宝石を購入したいのなら、最高の色と非加熱で有ること、そしてそれを証明する鑑定書がつけられているかどうかがとても大切になります。

アンティークの場合、石をセッティングから外す事は時に大きな問題になります。石を外してしまえば、それがオリジナルのアンティークストーンかどうかがわからなくなり、時には枠にダメージを与えてしまうからです。ですから、アンティークジュエリーで最高の非加熱の宝石を購入したい場合には、一つに方法があります、売り手が宝石学を学んでいるかどうかを確認してください。

宝石においては極めて稀な最高品質の宝石のみが将来的に価値が高まります。例えナチュラルストーンであっても最高クラス以下の宝石の価値は現在も未来も高まりません。例えば、透明感がありすぎたり、色が濃く透明感がなさ過ぎたり、インクルージョンが多すぎたりするものです。ですから、石をメインとしたジュエリーを購入される場合には、売り手に言われるままではなく、石の品質について自分でもよく確認する事が大切になります。

 

Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba

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アンティーク家具


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アンティークジュエリーとはまた違いますが、お客様にアンティーク家具購入の依頼を受けてジュエリーを探す合間に家具もいろいろ調べています(^-^)

家具にもいろいろな種類があり、木の質、艶感、全体のフォルムの美しさ、大理石の色合いの美しさなどに差がでますね。特に全体のフォルムは重要だなと思います、曲線の美しさが感じられず、直線が多くなってしまうとどっしりとした重みのある印象になります。そしてお値段も思ったよりもずっとお求めやすい事に驚きます、もちろん古い家具になればなるほどお値段も上昇しますが、19世紀くらいの家具ならばそれほどでもありませんでした。ジュエリーとはまた違った美しさを感じます。

 

 

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バカンス明け、素晴らしい作品との出会い


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ヨーロッパの古美術商達がバカンスを終えて買い付けをスタートする9月がやってきました。毎年この時期になるとバカンス明けで新しい作品との出会いに心躍らせてしまいます。

新入荷としてオパールを使った美しく可愛いデザインのアールヌーヴォーのネックレス&ピアスのパリュール、試しに身に着けてみましたが、あまりの可愛らしさにうっとりする作品です、アールヌーヴォーのピアスはごくごく稀な作品なのですから皆さんに紹介出来るのが楽しみです。あとは18世紀のリングにルネサンスのカメオをセットした素晴らしい指輪。バゲットカットを効果的に使ったアールデコの指輪、等いろいろ入荷しています(^-^)

9月にパリで開催されるアンティークフェアの招待状も頂いています、この招待状があると一般開催よりも早く品物を見られるので、優先的に現地で良い作品を選ぶ事ができます。今から楽しみです(^-^)

 

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神秘主義者とヒステリー


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ルネサンスの有名な詩人ピエール・ド・ロンサールが過ごした修道院にて行われた、造形作家エルネスト・ピニョン=エルネストによるエクスポジションを見てきました。少し固めの薄いプラスティックを大きな紙のように見せた素材に、静かで激しいエモーションを見せる女性達を描いた作品群、圧倒される迫力と神秘的な狂気?の素晴らしい世界観を感じました。

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さて、気になるモチーフですが題材は一つではなく、様々なメッセージが組み合わさっています。まずは偉大な7人のキリスト神秘主義者達がモチーフとして選ばれています、1世紀のマグダラのマリア、12世紀のヒルデガルド・フォン・ビンゲン、13世紀のフォリーニョのアンジェラ、16世紀のシエナのカタリナ、16世紀アビラのテレサ、17世紀の御托身のマリア、17世紀〜18世紀のギュイヨン夫人です。では何故、彼女たちは各々が白いシャツのような衣装を身に纏っているのでしょう、、?

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こちらは19世紀の精神病の女性のデッサンです、エクスポジションの作品に雰囲気が良く似ていますね。作品の神秘主義者達は精神病の女性とも接点を持って表現されているようです、ではなぜ、エクスポジションの作品の女性達は半裸で表現されているのか、、、?

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 ジャン・マルタン・シャルコー

この肖像画の人物は19世紀の精神科医、ジャン・マルタン・シャルコーです。神経症の一種であるヒステリーについて研究をしていました。

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ヒステリーは現代では、感情のコントロールが効かずに興奮状態にあり、短気であることを示すようなイメージで捉えられていますが、本来、多くの場合は性的抑圧を感じている女性によって引き起こされる確率が高い事が分かっています。女性の抑圧された感情のヒステリーを表現する為に、エロティシズムを感じる構成に仕立てているのが作品に独自の雰囲気を持たせています。

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今回の作品は神秘主義者達がモチーフなだけではなく、女性の精神と肉体、喜びと恐怖、欲望と拒絶、矛盾した表裏一体のものも表現されているのです。展覧会のカタログ、あまりの素晴らしさに思わず購入してしまいました。

 

 

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