神秘主義者とヒステリー


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ルネサンスの有名な詩人ピエール・ド・ロンサールが過ごした修道院にて行われた、造形作家エルネスト・ピニョン=エルネストによるエクスポジションを見てきました。少し固めの薄いプラスティックを大きな紙のように見せた素材に、静かで激しいエモーションを見せる女性達を描いた作品群、圧倒される迫力と神秘的な狂気?の素晴らしい世界観を感じました。

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さて、気になるモチーフですが題材は一つではなく、様々なメッセージが組み合わさっています。まずは偉大な7人のキリスト神秘主義者達がモチーフとして選ばれています、1世紀のマグダラのマリア、12世紀のヒルデガルド・フォン・ビンゲン、13世紀のフォリーニョのアンジェラ、16世紀のシエナのカタリナ、16世紀アビラのテレサ、17世紀の御托身のマリア、17世紀〜18世紀のギュイヨン夫人です。では何故、彼女たちは各々が白いシャツのような衣装を身に纏っているのでしょう、、?

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こちらは19世紀の精神病の女性のデッサンです、エクスポジションの作品に雰囲気が良く似ていますね。作品の神秘主義者達は精神病の女性とも接点を持って表現されているようです、ではなぜ、エクスポジションの作品の女性達は半裸で表現されているのか、、、?

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 ジャン・マルタン・シャルコー

この肖像画の人物は19世紀の精神科医、ジャン・マルタン・シャルコーです。神経症の一種であるヒステリーについて研究をしていました。

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ヒステリーは現代では、感情のコントロールが効かずに興奮状態にあり、短気であることを示すようなイメージで捉えられていますが、本来、多くの場合は性的抑圧を感じている女性によって引き起こされる確率が高い事が分かっています。女性の抑圧された感情のヒステリーを表現する為に、エロティシズムを感じる構成に仕立てているのが作品に独自の雰囲気を持たせています。

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今回の作品は神秘主義者達がモチーフなだけではなく、女性の精神と肉体、喜びと恐怖、欲望と拒絶、矛盾した表裏一体のものも表現されているのです。展覧会のカタログ、あまりの素晴らしさに思わず購入してしまいました。

 

 

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