蚤の市のよく行く店で素敵なデコレーションを見つけました、小さな棚に沢山の小物がずらっと陳列されてます。骸骨などちょっと怖いものもありますが、とてもセンスの良いデコレーションですね。(写真が今ひとつで申し訳ないです ! )
どれも奇妙で一つ一つ手に取りたくなります。
一番右はガラスで出来た17世紀のピルケースだそうです、お薬を一粒づつ入れるような感じの構造でした。コロンとしてて丸くて可愛かったです。
実はこのデコレーションの形式はCabinet of Curiosity~珍品陳列棚~と呼ばれるものです。
「Cabinet of Curiosities」Domenico Remps 17世紀
Museo dell’Opificio delle Pietre Dure蔵 Firenze(フィレンツェ)
15世紀〜18世紀にかけてルネサンス、大航海時代にヨーロッパに流れ込んだ大量の品物を元に、西洋の個人コレクションの歴史が始まります。それがCabinet of Curiosity~珍品陳列棚~と呼ばれるものです。
このような珍しい品物を集めた陳列棚への情熱は王侯貴族から始まり、古美術品や、剥製、石、コインなど実に様々な品物が集められ、のちに薬剤師、医師、教授らへ広がってゆきます、同時に陳列棚は珍しい物を収集して鑑賞するという目的から序所に学術的な意味を持ち始め、品物ごとに分類、研究され始めます。
これが今日の美術館、博物館の始まりです。
購入されたアンティークを自分だけの美術館、Cabinet of Curiosityとして好きなように飾るのも素敵ですね(^-^)
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba
ギャラリーで扱っている、この素晴らしいモザイクのクロスペンダント。
このクロスにはキリスト教に関連する重要なモチーフが数多く重なり合うように示されています。
まず、この麦と葡萄のモチーフ。この麦と葡萄の組み合わせはキリスト教の儀式で最も重要な事を示しています。
Carlo Dolci フィレンチェ「聖餐」16世紀
それは最後の晩餐にて行われた聖餐を意味します。聖餐とは、イエスが弟子達ととった最後の晩餐において、イエスが賛美の祈りののちパンと葡萄酒をそれぞれ「自分の体」「自分の血」として弟子たちに与えたことです。
Juan de Juanes スペイン「最後の晩餐」16世紀 プラド美術館
そして、この麦と葡萄のパーツが3つ縦に表現されています。
これは、父と子と精霊が一体であり、唯一の神とする三位一体を表現したものでしょう。
José de Ribera 「三位一体」17世紀
葡萄はイエス・キリストのシンボルの一つとされ、、
「葡萄の聖母」Pierre Mignard 1640-1650年頃 ルーブル美術館
多くの芸術家達がイエスと葡萄を共に表現した作品を残しています、、
Joos Van CLEVE, 「幼子と葡萄」 16世紀 ルーブル美術館
葡萄はキリストのシンボル、そして葡萄酒はキリストの血とされており、、、
キリストの体を葡萄に見立て、その体から流れる血を葡萄酒として表している図像が生まれています。このクロスの赤い色はキリストの血である葡萄酒から選ばれた色でしょう。この図像はプレソワミスティックと呼ばれ、かなり独特なものです。葡萄が上下左右に表現され、プレソワミスティックを表しているクロスは非常に珍しいです。プレソワミスティックの独特な図像はこのブログでもご紹介しています。
プレソワミスティック
この二羽の鳩は「ノアの方舟」に乗った鳩を表しています。
ノアの方舟とは旧約聖書 「創世記」によると、神が正しい人であったノアに地上で悪行を行う人間を洪水で滅ぼす、と告げ、その洪水からノア達が避けられるように作らせた方舟の事です。
その方舟には全ての動物の雄雌一組ずつが乗っていました。この鳩もノアの方舟に乗った動物として二羽で表現されているのです。
洪水により地上の人間の大半が死に絶えましたが方舟に避難したノアとその一族は無事でした。
洪水後にノアは水が引いたかどうか調べるため一羽の鳩を放ったとされています。
すると、鳩は葉をくわえて方舟に戻ってきました。
ノアは水が引いたことを知り、家族と動物たちと共に方舟を出るのです。
この時、鳩が口に加えていたのはオリーブの葉とされています。
鳩はまた聖霊サンテスプリの象徴でもあります。
聖霊サンテスプリのシンボルである鳩は、イエス亡き後の聖母マリアと12人の弟子を導く存在でもあり、平和を意味します。
この花は聖母マリアのシンボルである白百合を表しています。
そしてこの白百合は純潔のままイエス・キリストを宿した受胎告知も表しているのです。
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba
ギャラリーを開ける前によく立ち寄るパッサージュ。アートギャラリー、ホテル、お菓子屋、レストラン、本屋、雑貨屋などいろいろなお店が集まった場所です。そして、こんな所からジュエリーが?!と驚いてしまうような場所から店主がごそごそと美しいジュエリーを出して見せてくれる場合もあるんですよ(^-^)/
この本屋はアート系の本に強いお店。アート、モード、ジュエリー、建築、などなど、本当に沢山の美しい本がいつも並んでいます。
興味を引かれる本ばかりであれもこれもと手が伸びがちですが、あっという間に重くなるので気をつけなくてはなりません。今も購入したい本があるのですが、少し高いので悩んでます、その本も重いし。。。
先日、ここの本屋で人生の不思議を実感できるような偶然に出会いました。
それを目にして聞いた瞬間はものすごいスローモーション、心臓をぎゅっと掴まれてその後に暖かい春が訪れるような素敵な偶然で、世の中に存在する不思議な力?を感じた瞬間でした。
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba
アンティークレッスンNo4フェイクアールコジュエリー編を再開したいと思います。
(予習)で掲載した写真はご覧頂けましたでしょうか?(^-^) 普段はこういった事をじっくり考える機会もなかなか無かったのではないかと思います。
予習で掲載した写真はすべてフェイクです、あまり綺麗な写真ではありませんでしたが、アンティークジュエリーに見える品ばかりだったと思いますし、 フェイクアールデコジュエリーが存在する、ということを感じて頂ければ嬉しいです。
今回は見分けるポイントを文章でお話したいと思います。
まず、文章だけを掲載しますから、文章をよく読んでみて下さい。そして次回のレッスンより写真付きでそれぞれのポイントを少しづつ解説したいと思います。
1) デザイン
フェイクアールデコのデザインは本物よりも劣ります。
フェイクのデザインからはインスピレーションが感じられないものが殆どです。例えば、フェイクは全体のデザインがどっしり直線すぎたり、デザインにポイントがない為に重く見える事がよくあります。でも、これだけではフェイクだということにはなりません。アメリカのアールデコ作品はエレガントさにかける場合がよくあるからです。
2) 作り
作りはおそらく、フェイクを見分ける上で最も重要な要素だと思います。大抵のフェイクジュエリーと本物のジュエリーは作りには違いがあります。
通常フェイクジュエリーの仕上げには雑さがみられます、もっともよくわかるのは裏の作りでしょう、石の裏の穴の開け方が丸い穴だけであったりします、またフェイクのミルグレーションは本物のミルグレーションとは違います、そしてフェイクのセッティングと本物の石のセッティング、特に爪止めなどにも違いが現れます、接合面でもフェイクと本物では違いがあります。
クオリティの低いフェイクジュエリーは機械で作られており、手仕事ではありません。
3) 金属
金属も非常に重要なポイントです。
高品質のアールデコジュエリーはプラチナで作られます、ホワイトゴールドではありません。
そして、時々ホワイトゴールドをブローチの裏、リングのフープ部分などに部分的にプラチナと共に使う事があります。また、プラチナと混ぜられたイエローゴールドを(裏面など)見ることができます。しかし、金の色はモダンのジュエリーと古いジュエリーでは差があります。もし、全てがホワイトゴールドでアールデコジュエリーと呼ばれるジュエリーがあったら気をつけて下さい。
4)石
大抵の場合、フェイクメーカーは貴重な石を使わず、価値の低い石を使います。例えば、大きなダイヤモンドやバゲットカットよりも小さなダイヤモンドを好みます、また、半貴石の場合は珊瑚や翡翠よりも価格が低いオニキス、水晶、ラピスが良く使われます。
そして、着色した翡翠や中国産の珊瑚がつかわれたアールデコジュエリーと呼ばれるジュエリーがあったら特に気をつけて下さい。
5)石のカッティング
オールドカットのダイヤモンドを使っているからと言ってそれは本物のということにはなりません!フェイクメーカーはオールドカットのダイヤモンドをフェイクアールデコジュエリーによく使う事があるからです。そして、エメラルド、ルビー、サファイヤなどのカラーストーンのカッティングがモダンのカッティングであった場合も気をつけて下さい。
6)チェーン
フェイクペンダント、フェイクネックレスにフェイクメーカーはモダンのチェーンをよく使います。それは古いチェーンが貴重で見つけるのが難しいからです。アールデコジュエリーと呼ばれるジュエリーのチェーンがモダンのチェーンに見える場合、作りがモダンの場合、モダンのデザインの場合、使われた形跡がない場合は気をつけて下さい。
7)ホールマーク
通常、アンティークには金属を表すホールマークが打たれています。特にフランスのアールデコジュエリーはそうです。しかし、フェイクアンティークジュエリーにホールマークを見つけることは大抵の場合はできないでしょう、時々モダンのホールマークが打たれていることがありますが、それは明らかなフェイクの証になります。アールデコジュエリーと呼ばれるジュエリーにホールマークが無い場合は気をつけて下さい。
8)使用感
古いジュエリーには大抵の場合は使用感が見られます。フェイクには使用感がありません、約100年は立っているアールデコジュエリーに使用感が全くないのは奇妙ですね、もし、アールデコと呼ばれる新品のように見えるジュエリーがあったら気をつけて下さい。
今回、沢山のポイントをお話しましたが、一つのチェックポイントに当てはまるからと言って、それがフェイクアンティークジュエリーになるかというとそうではありません。
例えば、、、
接合面がモダンの場合、それは現代の修理の可能性を示すだけでフェイクではないかもしれません。
モダンのチェーンがついていた場合や、モダンのストーンがついていた場合、それは後にモダンのチェーンが着けられたり、石を取り替えた可能性があり、フェイクではないかもしれません。
ですが、アンティークレッスンでも繰り返しお話しているように、一つの品物に沢山のチェックポイントが当てはまってしまった場合は、フェイクジュエリーと判断する材料になるのです。
そしてまた一方で、一つの良いポイントがあったからと言って、それが本物であるという証にもなりません。
注意深いフェイクメーカーは古い石を使ったり、人工的な使用感を加工したり、本物の古いチェーンをフェイクジュエリーにつけたりするからです。
もし、あなたが持っているアールデコジュエリーがフェイクかどうか知りたくなった方は、どうぞお気軽にお問合せ下さい。鑑定には鮮明なお写真が必要になります。
(鑑定のサービスはSoleil Membersの方に限ります。お申し込みはこちらからどうぞ☆)
☆次回のレッスンからは写真を取り入れて、具体的にポイントの説明をいたします☆
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba
今日のパリは1度でとても寒くて、外は雪が降っています。リフレッシュの為にエッフェル塔まで散歩しようと思いましたが、あまりの寒さに中止してカフェで一休みしました(^-^;)
ソレイユがスタートしてから約1年が経ちますが、少しづつ見てくれる人も増えてきているし、頂けるメールも増えてきたのでとても嬉しいです。忙しくても皆さんに喜んでもらえると元気になれます(^-^)/
でも、もっともっと見てくれる人が増えて欲しいなあ、、と思っていて、もう少し存在を知ってもらう為のお仕事を一つ受けてみました、頑張ってみようと思います☆
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba