アンティークテクニック No1~ゴールドオープンワーク~
- 2013年03月18日
- アンティークレッスン
アンティークテクニック第一回はゴールドオープンワークです。
ゴールドオープンワークは固い金属に複雑な透かしを施す繊細で難しい技術です。
ギャラリーで扱っている透かしが美しいこのバングルもゴールドオープンワークの素晴らしいテクニックが使われた作品です。この美しい透かしがどのように作られているのかをご説明したいと思います。
〜ゴールドオープンワークの手順〜
1 通常0.8cm~1.2cmの厚さの薄いゴールド板を用意します。
2 トレーシングペーパーに油性の黒いペンシルで仕上げたいデザインの絵をかきます。
3 金の板に白い接着剤を載せます。
4 絵をかいた紙を金の板に載せます。
5 白い接着剤に描いた線が残ります。
6 金属の尖った道具で線を彫ります。
7 線を彫ったら残った余分な接着剤を取り除きます。
8 彫った線の中央にドリルで小さな穴を開け、、、
後から糸鋸に刃をセットし、刃には滑りやすくするためにワックスを塗っておきます。
固い金属を細い糸鋸で寸分の狂い無く細かく削っていくのは大変難しい技術で、余分な部分を削りすぎてしまったりすることが殆どです。糸鋸の角度や力加減で仕上がりには大きな差が出ます。
10 線に添って糸鋸を動かし金を削っていきます。糸鋸は力を入れすぎたりすると糸鋸の細い刃が折れたり曲がったり、金属に引っかかって刃がスムーズに動かなくなるなど力加減がとても難しいのです。
ヴェネチア 15世紀のオブジェ
この技術は主に19世紀中期に用いられますが、17世紀、15世紀にも使われています。
古代ローマのリング
ゴールドオープンワークの起源はエトルスカンの金細工にさかのぼり、他には古代ローマ末期の金細工にも使われています。
ビザンチンのバングル
このスタイルはビザンチンジュエリーまで良く使われていました。
ブリティッシュミュージアム opus interrasile 作品例
この技術は « opus interrasile »と呼ばれていました。
« Opus interrasile » とはラテン語で、opus は 作品 を意味し、interrasileは 透かし彫りの細工・透かし細工 を意味します。これは金細工装飾に含まれている金細工技術ですが、ドリルと糸鋸の変わりに、彫刻刀のような物と、金の板にダイレクトに穴を開ける道具を用いていました。
現代のゴールドオープンワークの例 扇
気をつけなければいけないのは、ゴールドオープンワークとフィッシュネット状の金細工の違いです。
ゴールドワークは手彫りのとても難しい仕事ですが、フィッシュネット状の細工は、ゴールドオープンワークに比べると規則的な模様を金線でつなげていくだけの、単純で難しくない価値の低い仕事だからです。
この違いは簡単に分かります。ゴールドオープンワークの場合、糸鋸の刃の跡を見る事ができます。一方フィッシュネット状の仕事は金線と金線、フレームにロウ付けの跡を見る事が出来るからです。
これらはフィッシュネット状の現代の細工です。
透かし細工ということでは共通していますが、、
ゴールドオープンワークとは技術も手間も全く違いますから、、、
注意が必要です。
ギャラリーで扱っているゴールドオープンワークのジュエリーをご紹介致します。
びっしりと一カ所のミスもなく施されたオープンワークのバングル。
透かしが軽やかなクロスペンダント
オープンワークのロケットペンダント(このお品物は売却済みです、ありがとうございます。)
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba
Antique Gallery Soleil http://www.antique-gallery-