アンティークレッスン 古代ギリシャ4世紀 黄金のニケのリング 確認ポイントについて
- 2014年07月06日
- アンティークレッスン
このゴールドリングは大変希少な古代ギリシャ4世紀の作品です、金の状態の確認で本物の古代の指輪だということはわかったので、次の4つのポイントについてさらに真贋を確かにする為に資料で詳しく調べてみました。
1 リングの形
同年代の指輪の例 British Museumより
同年代の指輪 Koch collection より
まず、形を確認してみました、資料でも確認できますが、このリングの独特な形、大きくて丸い広いべゼルは紀元前4世紀の典型的な形です。
何も彫っていないタイプのリングは以前に扱ったことがあり、こちらからご覧頂けます。
2 題材(ガーランドを手にしたニケ)
同年代の指輪の例 British Museumより
ガーランドを手にしたニケの同年代の作品です。このニケはガーランドを2つ手にしているタイプです。
3 彫刻の仕方(衣服、ギザギザの彫り等、、)
同年代の指輪の例 British Museumより
同年代の指輪 Koch collection より
彫りも大切な確認ポイントです、衣服や、翼、姿勢、類似点が多く見られます、特に翼のギザギザの彫り方によく特徴が出ています。
4 金の軽さ(2,3g)
2.3gという非常に軽い金の重さに関しては、タラントの墳墓より出土した同タイプのリングと同じくらいの重さであることがわかっています。埋葬時に墓の主の指に填められたリングだった為に、金を多く使う必要がなく、軽く仕上げられていたからです。
埋葬用に身につけられたリングなんて怖い、と思われる方もいらっしゃると思いますが、美と死は切っても切り離せない存在であることを、是非心を開いて感じながら作品に接して頂きたいと思います。
古代のリングと呼ばれている作品を入手した時に、金の状態を確認し、美術館やコレクション等の資料で類似点を確認することはとても大切です。
今回の紀元前4世紀の古代ギリシャのリングは多くの類似点を資料で見つける事が出来ました。金の状態でも本物の古代のリングの特徴が出ていましたから、このリングが確かに紀元前4世紀の古代の金のリングということが出来ます。
また、勝利の女神ニケのモチーフの指輪を埋葬時に指に填めるのは、死の恐れに打ち勝つような意味があったようです。
この美しい金の指輪が、紀元前4世紀の作品だということが資料でも確かに分かりましたが、 古代の指輪を手に取って、調べて、その指輪が確かに古代作品だと確信が出来た瞬間というのは、何度経験してもとても感動的です。
古代ギリシャ時代の一部が、自分の手の中に確かに存在している、これは美しい古の夢そのものだと思います。
仙波亜希子 Akiko semba
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