アンティークレッスン アンティークジュエリーの真珠
- 2014年02月18日
- アンティークレッスン
アンティークレッスン 天然真珠について
本物の天然真珠とその他の真珠(養殖と淡水)の違いをお話します。
人間の目では天然真珠か養殖真珠かの確実な識別はできません、養殖真珠の特徴などもありますが、それだけでは確実とは言い切れないのです。
天然真珠を使ったオークションのカタログ、それぞれのネックレスの鑑定結果が掲載されています。
アンティークの真珠を使ったジュエリーを紹介しているオークションでは必ず、天然真珠を科学的に識別した鑑定書がついているように、いかなる場合も天然真珠か養殖真珠かを識別するには鑑定にかけなければ分かりません。
アンティークジュエリーについてる真珠はすべて天然だから大丈夫!と思ってませんか?そうではありませんから、真珠のついた高額なアンティークジュエリーを購入する時には是非心に留めておいて下さいね。実際にアンティークの真珠ネックレスを鑑定に出した結果も掲載していますので、是非お読み下さい。
1− 天然真珠と養殖真珠
最も需要なポイントは天然真珠と養殖真珠の違いを知る事です。
真珠はある種の小さな物体または異物が貝の内部に結合して形成されます。この貝の反応が結晶と有機物の結合物である真珠層を形成します。この真珠層を形成しながら異物を包み込み、最終的に真珠ができあがるのです。
天然真珠は自然に、そして偶然に、異物が貝の核である中心部または体内に入り込んで形成されます。
天然真珠の断面、年輪のような模様が見えます。
養殖真珠の断面、年輪のような模様はなく、大きな核の周りに真珠層があるのがわかります。
養殖真珠は人工的に異物または「核」を貝の内部に挿入します。養殖者が真珠の形成を促進し、真珠は天然のものと同じ過程で形成されます。唯一の違いは偶然に形成が始まるか、故意に始めるかということです。
真珠の種類は様々な要因により決定されます。真珠のご購入前に天然真珠と淡水真珠、アコヤガイの真珠、タヒチ産・オーストラリア産の真珠、その他の多様な真珠の違いについて知っていただかなくてはなりません。ある種のものは他のものより貴重であり、貴重なものほど高価になります。
それぞれの種類の真珠は異なる種類の貝によって作られます。様々な貝は世界の異なる場所に異なる気候で生きており、それらの要因が真珠の特徴を生み出します。
覚えていただきたい大切なポイントは、天然真珠と養殖真珠の値段は全く違うということ。同じサイズや形、品質でも価格の差は20倍、30倍、40倍になるのです。
天然か養殖かの違いは肉眼ではわかりません、専門家でさえも天然真珠と高品質な古い養殖真珠を見間違うこともあるからです。
1つアンティークの真珠のネックレスの実例を挙げますね。最初、このアンティークの真珠のネックレス ↑ は天然真珠に見えました。しかし確認のため鑑定所へ持っていき、鑑定の結果、一つの真珠が養殖真珠だった事がわかりました。このように人間の目で見ただけで違いに気づくことはほぼ不可能です。
ちなみに、養殖真珠だったのは、、、
答えはこちら、黒い点で示されているのが養殖真珠でした。
2− 天然真珠
天然真珠はある異物が貝の内部に入り込んだ時に不規則に形成されます。異物に対する反応で、貝はカルシウムの結晶と有機物の結合物である真珠層を形成します。これらは徐々に異物の周りに層を作っていきます。
天然真珠は非常に貴重です。20世紀、養殖真珠は天然真珠に取って代わり、今日では、天然真珠はほとんど古いジュエリーでしか見かけなくなりました。ペルシャ湾付近で見つかった少数の天然真珠とアメリカの上質な淡水真珠をのぞき、天然真珠の取引はほとんどなくなったと言えるでしょう。
この数年間、真珠の製造は増加しています。サイズや形、真珠の色は様々な要因によって決定されます。その要因は元々の異物のサイズや形、貝が海水に住んでいるか淡水に住んでいるか、貝が住んでいる地域などで変わってきます。
3− 天然真珠の品質
品質、つまり天然真珠の価値はさまざまな要因によって決定されます。真珠層の厚み、光沢、表面の手触り、形、色、サイズなどが考慮されます。
この真珠層は真珠が実際に形成した物質で、この真珠層の厚みは粒の色を変え、品質を左右しますので、真珠層が厚いほど値段も高くなります。
真珠の光沢は色の鮮やかさと反射率で測ります。品質の良い真珠は明るく、輝いており、反射で自分が映せるくらいです。品質の劣る真珠は青ざめて光沢がなく白っぽく見えます。一般的に、海の真珠は淡水真珠より強い光沢を持っています。
真珠の形もまた真珠の価値を決める上でとても重要です。美しい球体の真珠は楕円形や洋梨型の真珠、いびつな形のバロック真珠より常に高価です。
真珠の色は価値にはあまり重要ではありません。白から黒まで様々な色の粒があり、天然の色は銀やクリーム、シャンパン、ピーチ、緑、青などです。真珠の色の見え方は光にもよります。電気の光と日光では同じ真珠でも違う色に見えるでしょう。
真珠のサイズはその価値において最も重要なポイントだと言えるでしょう。サイズは「mm」で測られます。3mm以下のものの価値は低く、5mm以上のものの価値は高くなります。特に8mm以上の天然真珠の価値は非常に高くなります。
今後も価値があがる真珠は、3mm以上の小さすぎない丸い形で、表面ができる限りなめらかなもの、そして美しい光沢のあるものです。
4− 淡水真珠
淡水真珠は養殖ですが100パーセント真珠層で作られています。養殖真珠は明るい光の中で見える核を持っていますが、淡水真珠は真珠層しか見えません。レントゲンを使うとはっきり違いがわかります。
淡水真珠を作るために、養殖者は貝に50回程度核を入れますが、アコヤガイの場合は5回以上入れることができません。
淡水真珠は湖や川で養殖するため、嵐やハリケーン、病気などの海の問題がなく、より簡単に養殖できます。そのため、上に述べたようなアコヤガイの寿命の方が問題になります。
5− 天然真珠と淡水真珠の違い
天然真珠と淡水真珠の違いについて写真を交えてお話します。天然真珠と淡水真珠の価値はまったく違います。例えば、サイズ3mm程で、いびつな形をしていて、 200カラットの真珠だとすると、淡水真珠の価格は500ユーロに対して天然真珠では20000ユーロにもなります。かなり大きな差があります。ですから、淡水真珠を天然真珠と思って購入してしまうと、大変な損をすることになってしまうのです。
これほどの価格差がありますが、天然と淡水の違いはなかなかわかりません。例えば、、、
これらは全て天然真珠です。
天然真珠を拡大したものです。
こちらはすべて淡水真珠です。
拡大してみるとそれほどの違いはありませんが、やや色の白さに差があり、淡水真珠は少し輝きが弱いです。
では、天然真珠と淡水真珠の束を混ぜて置いてみました。この3本の真珠の束、どれが天然真珠でどれが淡水真珠でしょうか?
答えは一番下に置いた真珠の束が天然真珠でした!実際に混ぜてしまうと真珠の事を良く知っていないと分からないと思いませんか?
ただ、アンティークの淡水真珠は、現代の淡水真珠に比べて、比べ物にならないくらい高品質で美しいものもあります。
6− 結論
天然真珠の値段は近年非常にあがってきています。この価値はこの先何年もあがっていくでしょう。しかし、それは高品質なもので、3mm以上の小さすぎないものだけです。
天然真珠をご購入になるのはとても良い事です。今日、天然真珠は古いジュエリーでしか見られなくなっています。しかし、こちらも注意が必要です。古いジュエリーに付いているからと言って天然真珠とは限らないからです。
どういうことかというと、天然真珠の価値が高騰するにつれて取引業者の中には古いジュエリーから天然真珠を取って他のものに用い、代わりに養殖真珠を付ける者もいるのです。
また、いわゆるアンティークジュエリーのなかにも養殖真珠や淡水真珠が付けられているのも多く見かけます。それは、その作品自体がアンティークジュエリーではなくて、フェイクアンティークジュエリーだからです。
まず、ジュエリーそのものが本物であるかどうかをしっかりと確かめることをお勧めします。品質証明、デザイン、原料、金属、ホールマークなどをしっかり確認しましょう。(例えば、ホワイトゴールドは1920年、30年より以前にはジュエリーに使われていません。)天然真珠がついた貴重なアンティークジュエリーだと思っていた作品が、フェイクジュエリーの淡水真珠の作品だったら、、、価格も価値も全く違うものになるのです。
安全に高価な「天然真珠」のジュエリーをご購入になりたい場合は、真珠が天然のものであるかどうかを必ず知る必要があります。それは鑑定書を得る事が唯一の方法です。この鑑定書は簡単に手に入り、高いものではありません。高価な真珠の品をご購入の際には鑑定書の依頼をすることをおすすめ致します。
このネックレスの場合はクラスプ付近の小さな真珠のみが養殖真珠でした!
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