アンティークレッスン No 7 〜ホールマークの大切さ 金の品質 年代 産地〜
- 2013年04月18日
- アンティークレッスン
〜ホールマーク、それはアンティークジュエリーの大切な手がかりです〜
これはジュエラーが自分のジュエラーズマークをジュエリーに打ち込んでいる写真です
ジュエリーが本物かフェイクかを知るのはとても難しいのですが、ホールマークを調べる事は真贋を知るのにとても大切な手がかりにもなり、時には証拠にもなるものです。
もちろん、ホールマークが無いからと言ってそれがすぐにフェイクの証になるわけではありません。しかし、ホールマークがないアンティークを見た時は気をつけた方が良いでしょう。例えばフェイクアールデコのプラチナ(もしくはホワイトゴールド)のジュエリーは現在南アメリカで作られており、それらにはホールマークは打ち込まれていません。
もし、アンティークジュエリーにホールマークが無かったら、
いくつかの理由が考えられます。
☆ジュエラーによってマークが打たれなかった(ジュエラーが税金を払いたくなかった)
☆ホールマークのある部分が削られた(例えば、指輪のサイズ変更時にホールマークの部分が切り取られた)
☆クラスプなどにホールマークが打ち込まれていたが、クラスプ交換の際になくなった。
☆長期間の使用によってホールマークが摩耗した(柔らかい金属の場合です、プラチナではありません)この場合には他の部分にも摩耗が見られる筈です。
☆フェイクメーカーはモダンホールマークをモダンフェイクジュエリーに打ち込みません。なぜならモダンのホールマークはモダンの作品であるという証拠になるからです。
☆そして、もっとも重要な理由はホールマーク自体が使われていなかった事です。
ホールマークは19世紀の間にヨーロッパで広く使用されるようになっていきます、19世紀初期は極めて少数のジュエリーにホールマークが打ち込まれていました。
また、モーニングジュエリーの場合には作られた年代が細かく確認できます、なぜなら亡くなった人を忍ぶモーニングジュエリーには亡くなった人の命日がしばしば刻まれているからです。
この場合にはホールマークが無くても年代の特定が出来ます。
イギリス モーニングリング 骨壺のデザイン 1782年製
イギリス モーニングリング 1783年製
素晴らしいモーニングリング 1791年製 骨壺がダイヤモンドで表現されています
ホールマークからは下記の事がわかります。
1 ジュエリーの産地
2 ジュエリーの年代
3 金属の品質
1 ジュエリーの産地
19世紀と20世紀において、それぞれの国はそれぞれのホールマークを持っていました。ですから例えばフランスのマークはイギリス、ベルギー、オーストリア、ロシア、スイスのマークとも違っていたのです。
フランスの18kのホールマーク
イギリスのホールマーク
スイスのホールマーク
☆そして、このマークには気をつけて!☆
18k もしくは 750(18キャラットゴールドのマーク)そしてPt(プラチナのマーク)これらは産地を示しません。そしてこのマークのみが打ち込まれたジュエリーがアンティークジュエリーと呼ばれていたらホールマーク無しのジュエリーと同じくらい気をつけてください。
2 ジュエリーの年代
ホールマークは19世紀と20世紀の間に大きく変わり、これがとても良い年代特定の証拠になります。
フランスでは、以下の年にマークが変わっています。
1798年、1809年、1819年、1839年、1847年、1912年(プラチナ)、1919年
1809年から1819年のホールマーク
フランスのホールマーク1819年〜1838年
フランスのホールマーク1838年〜1919年
例えば、1838年〜1919年の間に打ち込まれた特別なホールマークである<馬の頭>がジュエリーに確認できた場合、そのジュエリーが本物だと言う事が分かります。
イギリス1876年~1935年のdate letter
イギリスでは、毎年5月22日に<date letter >が変えられます。もし、イギリスのアンティークジュエリーにdate letter が打ち込まれていた場合、確実な製作年代を知る事が出来ます。
例えば、このイギリス製のリングは1899年のバーミンガムで製作された18k(750/1000)のリングであることが分かります。
オーストリアのホールマーク
3 金の品質
イギリスのホールマーク1900年頃
これらのホールマーク、左下はこのジュエリーが18k(750/1000)、左上が22k(920/1000)の高品質な金で出来ている事を示しています。そして右上のマーク、14k(585/1000)と9k(375/1000)などは他の金属が混ぜらた高品質ではない金の事を示しています。
例えば、14kというのは、全体の585/1000のみが金で出来ている事を示しています、これは金属の約半分がカッパーやシルバーなどが混ぜられているということです。
そして9kは、僅か 375/1000のみが金で出来ているということを示しています。
9k,14k.15kなどは、殆どが金で出来ておらず金以外の金属が沢山混ぜられて出来ているのです。ジュエリーを選ぶ際には物にもよりますが、18k以上の金が使われている作品を選びたいところです。18k以下だとやや低品質の印象を受けます。
イギリスの9kを示すホールマークが打ち込まれたリング。
金の色
金の色は金に他の金属が混ぜられる事によって違う色に変化します。
純金(24k=1000/1000)は常に黄色です。(暖かく深みのある色ですが、柔らかすぎます。)
18kは混ぜられる金属によって特別な色が表現できます。
イエローゴールド 750/1000純金 + 125/1000銀 +125/1000銅
ピンクゴールド 750/1000純金 + 50/1000銀 + 200/1000銅
グリーンゴールド 750/1000純金+250/1000銀
ホワイトゴールド 750/1000純金+250/1000ニッケル
品質の低い金は金属の大部分を銅が占めているので常にピンクがかっていたり、赤みがかった金の色をしています。
ホワイトゴールドは1925年からプラチナと合わせて使われ始め、1930年以降のみそのまま使われ始めます。
金に比べると、プラチナはほぼ950/1000という純度で使われています。
フランスのプラチナのホールマーク
1912年以降は金とプラチナ両方のマークが一緒に打ち込まれたアンティークジュエリーを見つける事が出来るでしょう。
19世紀後期から1920年頃まで、ジュエラーがプラチナセッティングにイエローゴールドを使い始めたからです。
そして1920年から1925年まで100%プラチナを使っています、1925年以降はホワイトゴールドとプラチナを混ぜた低価格のジュエリーを作り、さらに1930年以降は100%ホワイトゴールドのさらに低価格のジュエリーを作ります。
フランスホールマークのゴールドの鷲とプラチナの犬の頭、両方が一度に打たれています。
そして、もし金が白っぽく見えたら気をつけて下さいね。それはおそらくイエローゴールドの表面をロディウムが覆っているかもしれません、しかし、金が本当に白く見えたら、それは1925年以前には作られてはいません(ホワイトゴールドが使われ始めた年代)
まとめ
ホールマークがどれほど重要かが分かって頂ければ嬉しいです。ホールマークはそれがアンティークだという証明にもなり、製作年代、産地を示したり、金の品質も表します。
もし、アンティーク、もしくはアンティークと呼ばれているものでホールマークが無いものを見た時には気をつけた方が良いでしょう。マークが無かった場合、それがすぐにフェイクの証拠にはなりませんが、アンティークを購入される際にはホールマークについては詳しく聞いた方が良い場合があります。
アンティーク購入の際に読んで為になるアンティークレッスンです、バックナンバーも是非チェックして下さいね。
パリにてジュエリー職人の一人と、、
Parisのアンティークディーラー 仙波亜希子 Akiko semba